<巻名> <本文> まめ人の名を取りてさかしがり給ふ大将、この一条の宮の御有様をなほあらまほしと心にとどめて、おほかたのひと目には昔を忘れぬ用意に見せつつ、いとねむごろにとぶらひ聞え給ふ。下の心には、かくてはやむまじくなむ、月日にそへて思ひまさり給ひける。御息所も、あはれにありがたき御心ばへにもあるかな、と今はいよいよものさびしき御つれづれを、絶えず訪れ給ふに慰め給ふことども多かり。 <現代語訳> <評>