夢浮橋
ゆめのうきはし
<巻名>

<本文>
山におはして、例せさせ給ふやうに、経仏など供養ぜさせ給ふ。またの日は、横川におはしたれば、僧都驚きかしこまり聞え給ふ。年ごろ、御祈りなどつけ語らひ給ひけれど、ことにいと親しきことはなかりけるを、このたび一品の宮の御ここちのほどにさぶらひ給へるに、すぐれたまへる験ものし給ひけりと見給ひてより、こよなう尊び給ひて、今少し深き契り加へ給ひてければ、おもおもしうおはする殿とのの、かくわざとおはしましたること、ともて騒ぎ聞え給ふ。御もの語りなどこまやかにしておはすれば、御湯漬ゆづけなど参り給ふ。
<現代語訳>
<評>