<巻名> <本文> 二月の二十日のほどに、兵部卿の宮初瀬にまうで給ふ。旧御願なりけれど、思しもたたで年ごろになりにけるを、宇治のわたりの御中宿りのゆかしさに、多くはもよほされ給へるなるべし。恨めしと言ふ人もありける里の名の、なべてむつましうおぼさるるゆゑもはかなしや。上達部いとあまたつかうまつり給ふ。殿上人などはさらにも言はず、世に残る人少なうつかうまつれり。 <現代語訳> <評>