匂 宮
におうのみや



<巻名>







<本文>

 光隠れた給にし後、かの御影にたちつぎ給ふべき人、そこらの御末々にありがたかりけり。おりゐの帝をかけたてまつらむはかたじけなし。当代の三の宮、その同じ大臣にて生ひいで給ひし宮の若君と、この二ところなむとりどりにきよらなる御名取り給ひて、げにいとなべてならぬ御ありさまどもなれど、いとまばゆききはにはおはせざるべし。ただ世の常の人ざまに、めでたくあてになまめかしくおはするをもととして、さる御なからひに、人の思ひ聞えたるもてなしありさまも、いにしへの御ひびき気配よりも、ややたちまさり給へるおぼえからなむ、かたへはこよなういつくしかりける。

<現代語訳>






<評>