紅 梅
こうばい
<巻名>

<本文>
そのころ、按察の大納言と聞こゆるは、故致仕の大臣の次郎なり。亡せ給ひにし右衛門の督のさしつぎよ。童よりらうらうじう、はなやかなる心ばへものし給ひし人にて、なりのぼり給ふ年月にそへて、まいていと世にあるかひあり、あらまほしうもてなし、御おぼえいとやむごとなかりける。北の方二人ものし給ひしを、もとよりのは亡くなり給ひて、今ものし給ふは、後の太政大臣の御むすめ、真木柱離れがたくし給ひし君を、式部卿の宮にて、故兵部卿の親王に合はせたてまつり給へりしを、親王亡せ給ひて後、忍びつつ通ひ給ひしかど、年月経れば、えさしもはばかり給はぬなめり。
<現代語訳>
<評>