<巻名> <本文> あまた年耳馴れ給ひにし川風も、この秋はいとはしたなくもの悲しくて、御はてのこといそがせ給ふ。おほかたのあるべかしきことどもは、中納言殿、阿闍梨あざりなどぞつかうまつり給ひける。ここには法服ほふぶくのこと、経の飾り、こまかなる御あつかひを、人の聞こゆるに従ひていとなみ給ふも、いとものはかなくあはれに、かかるよその御後見なからましかば、と見えたり。みづからもまうでたまひて、今はと脱ぎ捨て給ふほどの御とぶらひ、浅からず聞こえ給ふ。 <現代語訳> <評>