東 屋
あづまや



<巻名>







<本文>

 筑波山をわけ見まほしき御心はありながら、端山の繁りまであながちに思ひいらむも、いと人聞きかろがろしうかたはらいたかるべきほどなれば、おぼしはばかりて、御消息をだにえ伝へさせ給はず。かの尼君のもとよりぞ、母北の方に、のたまひしさまなどたびたびほのめかしおこせけれど、まめやかに御心とまるべきこととも思はねば、たださまでも尋ね知り給ふらむこととばかりをかしう思ひて、人の御ほどのただいま世にありがたげなるをも、数ならましかば、などぞよろづに思ひける。

<現代語訳>






<評>