桧洞丸3(ひのきぼらまる 

#294 2019/5/24(金) 桧洞丸 1,601m




この季節、西丹沢に白い花と桃色の花が共に彩る山がある。花とはシロヤシオとトウゴクミツバツツジ。山は西丹沢の桧洞丸と畦ヶ丸。中川川を東と西に対峙する山だ。起点を西丹沢ビジターセンターとする登山道はいろいろ数えられる。畦ヶ丸なら、県道を北上して白石峠、稜線を畦ヶ丸まで縦走する周回コース。西沢から畦ヶ丸に上り、大滝橋に下山するコース等。桧洞丸なら、ツツジ新道を上って山頂へ。下山は犬越路まで縦走し用木沢へ、または石棚山から箒沢へ降りる。

一昨日、丹沢湖一帯に大雨警報が発令され、箒沢の累積雨量は200mmを越え、周囲を流れる西沢、白石沢、東沢は激しい濁流となり、沢沿いの登山道は木橋が流された個所があったという。それなら西沢、白石沢に拘わる畦ヶ丸を敬遠して、東沢を一ヶ所渡ればいい桧洞丸に登ろう。明けて昨日から快晴にして真夏日。さて、いつものように、JR御殿場線、谷峨駅で路線バスを待つ。20分遅れの満員のバス、押し込まれて西丹沢ビジターセンターまで立ちんぼのバスだった。

シロヤシオ 山頂近く、バイケイソウを分けて木道を行く


西丹沢自然教室から名前を変えた西丹沢ビジターセンターで登山準備を済ませ、中川川に沿って舗装道路を北へ向かう。凡そ500m歩いたところが桧洞丸へのツツジ新道の登り口。山頂まで48km、標高差1,000m余りを上る。登りはじめは暗い谷間。枝尾根に取り付けば、シラカシの落葉を蹴散らして歩く水平道。桟道につぐ桟道。水音が聞こえて東沢の真っ白な河原が見えてくる。ゴーラ沢の出合。東沢にゴーラ沢が合流する地点。対岸、数十米先に赤い幟が立っている。

東沢はさほどの増水ではない。飛び石を6歩踏めば渡れそうだ。「沢を渡って対岸へ」の文章と渡り方を図示した案内板がある。どうも変、納得できない。東沢とゴーラ沢の合流点の下流でまず東沢を渡り、次にゴーラ沢を渡るように描かれている。実際には、合流点より上流で東沢を渡る。僕の前にいた御仁は二本のストックを巧みに操って飛び石の頭を渡る。次に女性が、身のこなし鮮やかに渡る。僕はというと、4歩目で飛び石から足を滑らして、哀れ靴がチャポンと水の中。

ツツジ新道は急登が続く一本道。よく整備されている。適度に道標、危険個所に張られたロープ、岩場の鉄鎖に鉄梯子、上部には木製の階段や木道が続く。東沢を渡り終えると、先ず急階段、次いで鎖場を急登する。右にゴーラ沢から、左に東沢から水音を聞きながら、アセビの群落を上る。眩しい若葉のブナの森、森を抜ける風、ひとつ目のベンチでひと休み。急登にして荒れた登山道が続く。岩こぶ、がれ場、木の根。やっと展望園地に辿り着く。ベンチに休む数人のグループ。

桧洞丸山頂 山頂近くから見る富士山


展望園地から富士山が見える。箒沢権現山の遥か後方に、霞んだ富士。この時間に三々五々、山を降りてくる登山者がいる。その中のひとりが「シロヤシオの咲き方は良くない。今年は裏作?山頂は人がいっぱい」と言う。登山道の右側に金網が張りめぐらされている。植生を回復し、水源土壌を保護するためだという。標高1,100mを越える。咲き始めたトウゴクミツバツツジ、別名ゴヨウツツジを見受ける。シロヤシオも咲いている。その名のように葉は5枚。シロヤシオは3枚。

木段や木道が続く。振り向けば富士山。やっと石棚山分岐の稜線に上る。バイケイソウやマルバタケブキの群落を分ける木道を進む。重なり合ったブナの倒木。かつて桧洞丸の山頂はブナで覆われていたが、大気汚染の影響で衰退しているという。自動気象観測所を通過する。桧洞丸山頂。山頂標識、小さな石祠、キャンプ禁止の立札。犬越路への縦走路は滑落事故多発につき危険との注意書がある。それでは上ってきた登山道を戻ろうか。思いやられるのはツツジ新道の降り。



晴れ 単独行 歩行距離=9.5km 歩行時間=7時間

JR御殿場線、谷峨駅803⇒(富士急湘南バス)⇒840西丹沢ビジターセンター
西丹沢ビジターセンター845950桧洞丸登山口→930ゴーラ沢出合9401045展望園地10551145ベンチ11551220石棚山分岐→1245桧洞丸1330→(往路を戻る)→1700西丹沢ビジターセンター
西丹沢ビジターセンター1715⇒(富士急湘南バス)⇒1750JR御殿場線、谷峨駅