ミツバ岳7 みつばだけ 

#289_1802 2018/3/25(日) ミツバ岳 834m ← 権現山 1,019m





スポーツ店に足を踏み入れたら山靴に目を奪われ、つい購入してしまったのは5日前。登山靴を買い換えたら、早く山に登って試し履きしたい。とは言っても、遠望する丹沢は冠雪の山。10年前には嬉々として雪深い山を歩いたものだが、今では雪の積もった山へ登る気はしない。重い雪に足を取られ、疲れが増すからさ。彼岸を過ぎた頃から、初夏のような暖かい晴天の日が続く。好天に後押しされて、雪のない山に登ろうか。丹沢ならミツバ岳、いまが見頃のミツマタが彩る山。

うららかな陽気、しかも日曜日となれば、冬眠から醒めた輩が我も我もと山に登る。新松田駅発、西丹沢ビジターセンター行きの路線バスを、御殿場線の谷峨駅で待つ。悪い予感が当たって空席のないバス。立ちんぼ。丹沢湖に架かる永歳橋を渡ると浅瀬入口バス停。大半のハイカーがぞろぞろと降りる。僕が降りるのはその先の細川橋。一緒に降りたのは60がらみのおっさん一人。バス停脇の石垣に括られた標識に従って上ノ原集落を進む。次の標識が権現山への登山口。

権現山 ミツバ岳


権現山まで3.5km。民家脇から茶畑を分けて石段を上る。大室生神社前を左折して、道なりに林道から細川沢の左岸を遡る。さほどの水量ではないが広い河原。次々に現れる砂防堰堤を高巻いて杉林を上る。崩れそうな木橋を渡る。山腹をへつる隘路に出くわす。狭い足下を踏み抜くまいと山側に張られた鎖に掴まって通過する。登路は沢を離れて小さなじぐざぐを描きながら樹林を上る。歩きやすい登山路に随所に設けられた道標。右に屏風岩山が見えると二本杉峠近い。

二本杉峠。二つのテーブルベンチと石像がある。二本杉峠は畦ガ丸から権現山へ続く山稜の一角。道標がある。上ノ原2.3km、左は権現山1.1km。右はコブを巻いて屏風岩山へ、但し踏み跡不明との注意書き。峠を越えれば千鳥橋の筈だが標識はない。しばしの休憩後、杉林を急登する。100m上って849m峰。右に富士山を遠望、前方に権現山が現れる。下って鞍部、上り返して見晴らしの崩壊地に出る。見下ろせば中川温泉、その後方に西丹沢の桧洞丸や同角山稜。

樹相が杉からブナに変わる。少しばかりの残雪が見られる。念のためアイゼンをザックに詰めてきたが不要だった。勾配が緩んで権現山に登る。山頂には僅か数人のハイカーしかいないのは拍子抜け。山頂標識、二等三角点、ふたつのテーブルベンチがある。この先、南東尾根を下れば浅瀬入り口バス停だが、「この先踏跡不明 初心者の通行不向き」の標柱が立つ。西尾根には立木に「ミツバ岳方面 登山道不明瞭 遭難事故多し 通行注意」の張り紙が括りつけられている。

ミツバ岳から富士山を望 三椏(みつまた


樹間から正面に富士、右に道志の山を見ながら西尾根を下る。あれは6年前のこと、ミツバ岳への分岐が見つからず、そのまま西尾根を下ってしまった。道間違えに気付いても後の祭り。引き返すのは面倒とばかり、立木に掴まりながら急斜面を下り終える。そこは法行橋近くの大又沢だった。ミツバ岳は地権者のいる山。そのせいか、ミツバ岳を標示する行政による道標や山頂標識は何処にもない。ただ私製の道標があるのみ。今では赤い紐が張られて注意喚起をしている。

権現山の西尾根からミツバ岳へ向かう。総勢20名ほどの団体様、3組とすれ違う。黄色い花で彩られたミツバ岳の山頂は赤い嬌声で沸き立っている。ミツマタは、三つに分かれた枝の先端に、芳しい香りを放つ淡い黄色の花が咲く。その茶色の樹皮は古来より和紙の原料とされてきた。ミツマタの群生の上に白い富士山がくっきり見える。花の間から青い丹沢湖が覗く。ゆっくり休憩したいがこのお祭り騒ぎ、早々に下山する。ブナ林から桧林へ。水音が聞こえる。もうすぐ滝壺橋。


快晴 単独行 歩行距離=88km 歩行時間=4時間30分

JR御殿場線、谷峨駅750⇒(富士急湘南バス)⇒820細川橋
上ノ原825935二本杉峠10001100世附権現山11301215ミツバ岳123513:30滝壺橋→14:00浅瀬入口→1410丹沢湖記念館

丹沢湖1501⇒(富士急湘南バス)⇒1550谷峨駅