伊勢沢ノ頭4いせざわのかしら  

287 2017/12/2(土) 伊勢沢ノ頭 1,177m ← 桧岳 1,167




寄(やどりき)  桧岳(ひのきだっか)  玄倉(くろくら)


月が替って12月、青空に紅葉がよく映え遠望がきく季節。冬のいち日、桧岳に登る。桧岳から先のルートはいろいろあろうが、伊勢沢ノ頭を越えた辺りから、西尾根を降りて林道秦野線へ出られるという。もとよりヴァリルートだが、林道へ降りれば玄倉へ行けるのは有難い。ところが降下点が見つからず、ずるずると秦野峠から林道秦野峠に降りてしまった。寄へ戻る林道は紅葉の賑わう道。思いもよらず赤と黄と緑が織りなす山肌と渓谷美に浸りながら、帰途についたのだった。

寄行きの路線バスに乗る。乗り続けたのは10名ほどの登山客。曇り、冷気に思わず身がすくむ気象庁の天気予報の的中率は80%というが、今朝は曇り。翌日の予報も当たらねえのか。酒匂川の上流、中津川に沿って北上する。激しい水音が宇津茂の里の静けさを破る。行く手に雨山山稜。白い雲が紅葉の山を覆い隠してゆく。30分ほどで水源の森入口。森に入るあの登山客達は鍋割山へ登るのか。僕は入口前を左折して寄大橋を渡る。見下ろせば白い河原、紅葉の岸辺。

成長の森あたりの紅葉 桧岳


道標に導かれて、林道秦野峠線から成長の森の杉の森に入る。緩やかに上る整備された径路。今が見頃の紅葉、黄葉の山肌が時折姿を現す。成長の森とは、平成22年から24年にかけて、子や孫が生まれた家族が、広葉樹の苗木を寄付してその成長を願い、杉や桧の伐採跡地に植栽する事業だという。森の広場にベンチがある。ひと休み。ここからは知られざる登山道。じぐざぐを描いて上る杉の森から桧の森、また杉の森。上り始めてかれこれ1時間、広葉樹林に入る。

白いガスが樹林に静かに忍び寄り、展望を消す。真っ赤な落葉を踏みしめて上る幻想の森。昨年とは何か違う。確か草地の薄いトレースを探して急登した筈。それが、伐採された2本の丸木で登山路が造られている。傾斜が緩み雨山山稜の稜線に乗る。程なく桧岳。標識がなければ、どこが山頂か分からないような樹林の中。雨山山稜とは雨山峠から南へ、雨山、桧岳、伊勢沢ノ頭と続くピークを越えて林道秦野峠に至る山稜。樹間から垣間見る西丹沢の山々も白いガスの中。

右端はダルマ沢の頭、左端はシダンコ山 伊勢沢ノ頭


厚く積もった落葉を蹴散らしながら緩やかな稜線を往く。針葉樹林が右手に現れる。背より高く伸びたカヤトの草原を抜ける。樹林が途切れて山神峠への降下点を通過する。伊勢沢ノ頭。樹林に囲まれた山頂。さてこの先、1086m峰から林道秦野峠線へショートカットする枝尾根があるという。高度計を睨みながら注意深く踏み跡を探すが見つからない。穴があいた鹿柵の先は暗い針葉樹林、入り込む気はない。枯れたカヤトの急斜面を新しい丸木の階段で下り、崩壊地を迂回する。

稜線の下りは好展望の筈なのに生憎の曇り空。前方にぼんやりとダルマ沢ノ頭、シダンコ山、右下に丹沢湖がうっすらと見える。相模湾、箱根連山、ましてや富士山なぞ望むべくもない。ひとりの登山客と擦れ違う。秦野峠を過ぎて日影山分岐。ブッツェ平から日影山へ行きかけたが、眼の前の小峰にうんざりして引き返す。林道秦野峠。右折すれば玄倉だが、「路肩欠壊、通行止」 うんざりするほど長い寄までの林道歩き。それでも山腹や渓谷を彩る紅葉に慰められて寄へ帰る。


曇り 日帰り 単独行 歩行距離=156km 歩行時間=7時間

小田急線、新松田駅655⇒(富士急湘南バス)⇒720
720750寄大橋→800成長の森入口→825成長の森8351015桧岳10201050伊勢沢ノ頭10551215秦野峠1225→(ブッツェ峠へ向かうも引き返す25分ロス)→1335林道秦野峠13451450寄大橋→1525
1540⇒(富士急湘南バス)⇒1605小田急線、新松田駅