姫神山 ひめかみさん) 

284 2017/9/5(火) 姫神山 1,124




秋風が吹けば山が恋しくなる。早目の秋を見んと東北の山に登る。さりとて、長い距離は歩けないし、山小屋泊もしんどくなってきた。未踏の朝日連峰や飯豊連峰はとても及ぶべくもない。日帰り、歩行距離10km以内の山を探す。有り体に言えば、おばさんの散歩道。姫神山ならやさしそうだ。盛岡にあって3時間で登れる。ついで、青森まで足を伸ばし、4度目の八甲田山へ登ろう。気がかりは天候。なにせ1週間後の天気はどうなるか判らないまま宿と交通を手配するからさ。

北上川を挟んで岩手山と対峙する姫神山。標高は低いがピラミダルの端正な山である。登山路は四方から突き上げる。最短時間で上れる田代コース、緩やかだが少々距離の長い城内コースもあるが、駐車場やトイレもあり、登山者名簿もある一本杉登山口から上り始める。下山はコワ坂登山口へ。ところで登山口への公共交通機関はない。さて、よく晴れた朝、好摩駅から一本杉キャンプ場の駐車場へタクシーを乗りつける。そこには既に10台ほどのマイカーが駐車している。

一本杉登山口駐車場 登山届箱のあるトイレ棟 山頂直下は重なる巨岩を越えて上る


トイレ棟の左脇から林道を歩きだす。キャンプ場を通り過ぎ5分ほどで林道を横切ると一本杉登山口との道標がある。杉の森を緩やかに上る。杉の大木がある。一本杉の名の由来となった杉だが、哀れ、枯れている。湧水、一本杉清水もある。岩手の名水20選と云われるが、注意書き、「この水は飲んではいけません 検査の結果、飲用不適です」 道は険しくなってざんげ坂、丸木の階段を上る。5合目は平坦地。頂上まであと1,360mの標示坂と太い丸木のベンチがある。

陽が射して陽気な森、煩わしい路傍のササ。張り出した根っこを階段変わりに踏みつけて6合目。露岩地帯を越え、丸木の階段を上って7合目。4段の梯子を上ると8合目。頂上まであと720m。ダケカンバの美林を抜ける。樹高が幾分低くなる。ここから姫神山の真髄、累々と重なる大岩の頭を越えて上がる。展望が開けて、眼下に好摩、渋民の里。その先に聳えるは岩手の名山、岩手山。山頂直下、草木に埋もれた石祠がある。病や災難を救うという山伏が信仰する薬師神社。

露岩の姫神山山頂 姫神山山頂から見る岩手山


姫神山の頂上には、山頂標識をはじめ、ロープで囲まれた一等三角点、山位同定盤、姫神大権現を祀る石祠がある。山頂は大賑わい。乱立する大岩に腰掛けて、早飯を喰らったり、展望に見入る十数名のハイカー。よく晴れてくっきりと遠望できる。西方には、右奥に八幡平、左奥に秋田駒ヶ岳を従えた岩手山。山頂に可憐な花が咲く。ヤマハハコ、イワテヒゴダイ、アザミ。そろそろ下山。一本杉登山口へはもう降りたくない。道標を確かめなだらかに下れるというコワ坂を目指す。

開けた山頂から展望のない樹林に入る。なだらかに下れるというものの、丸木の階段が現れたと思ったら、岩稜地帯も出現する。下り始めて50分、頂上まで980mの標識。階段も岩場も終り、急な登山道はなだらかになる。おや、なんだろう。白い幹が黒く膨れたダケカンバ。「何の木?」と書かれた看板が取り付けられている。谷側の樹林が途切れて視界が拡がる。岩手山の頂は雲に覆われている。背丈ほど伸びた笹を払い除けて降る。コワ坂登山口に軟着陸。山散歩は終わる。


快晴、日帰り 単独行 歩行距離=39km 歩行時間=3時間35

いわて銀河鉄道、好摩駅935⇒(タクシー)⇒950一本杉登山口
一本杉登山口10001025五合目10301100八合目11051145姫神山12151335こわ坂登山口
こわ坂登山口1350⇒(タクシー)⇒1405いわて銀河鉄道、好摩駅