鍋割山13 なべわりやま) 

280 2017/1/12(木) 鍋割山 1,273




寄(やどりき)  後沢(うしろざわ)  乗越(のっこし)  地獄崩(ぢごくざれ)沢

寒波が襲来し大雪に見舞われる北陸や北日本。一方、南関東は晴天続き。今日もよく晴れた朝、ぴりりとひきしまる冷気は寄の里。秦野峠林道を中津川に沿って遡る。見上げれば朝日に輝く桧岳山稜。身体が温まった頃、ゲート脇を擦り抜けてやどりき水源林に入る。静まりかえったかつてのキャンプ場、水場を、後沢を通過する。やどりき水源林とは「県民に水源の森林づくりを見て学び体験し交流する場所」だそうだ。水源林の道路が尽きるとそこはベンチが置かれた登山口。

登山口は雨山峠への入口、後沢右岸尾根登り口、周遊歩道B入口、それに成長の森入口でもある。ひと休みして軽食を摂っているとやってきた年配の人、雨山に登ると言う。さて登山口から杉の森へ入る。鹿柵を出て寄沢の河原に降りる。寄沢は中津川に流れ込む支流のひとつ。広い河原、狭い沢幅、いつもより増した水量。これから四度、寄沢の渡渉を繰り返す。流れの中の飛び石を渡り、河原から対岸に取り付き、山道を歩いて砂防堤を越え、また河原に降りて沢を渡る。


寄コシバ沢を遡る 後方に富士山、左端は愛鷹山 鍋割山の山頂から

流失したのか撤去されたのか、木橋やアルミ橋は一切ない。沢を渡渉するには黄色い絵入りの標識に従えばいい。これは大助かり。それは四度目の渡渉だった。右岸から左岸へ三つの飛び石を渡る。第一歩は濡れた褐色の大石に右足を乗せる。少し滑る。褐色は苔のようだ。かまうものかと左足をつぎの石に乗せようとした途端、右足が滑って流れの中に尻から転げる。憐れ下半身はびしょ濡れ、登山靴の中まで水浸し。靴下を取り換えてもズボンや下着の替えはない。

歩きだすと右の靴の中でポチャポチャ水音がする。仕方ない、このまま歩くほかはない。登山用のズボンと下着の効果が絶大。逃げるは恥じだが役にたつ。鍋割山の山頂につく頃には、なんということだ、衣類はすっかり乾いてしまったではないか。登山道は寄沢右岸の鹿柵に沿って樹林に入る。「危険!荒天時は通行しないでください」との標示板の先は地獄崩沢。その名のとおり両岸の崩壊が激しい沢。涸れ沢を渡り対岸の梯子を上る。崩壊地を半周して杉林に入ると釜場平。

寄コシバ沢出合。「コシバ沢方面危険」と記されている小さな標示板がある。寄コシバ沢は涸れた沢、伏流水がゴーロの下に流れる。歩き難い岩ゴロを遡る。根こそぎ崩落した五本の桧の倒木が行く手を阻む。沢に残雪が見受けられるようになると、右岸に赤い布が巻かれた木の幹がある。岸辺への取り付き地点の目印だ。残雪の崩れやすい黒土の斜面。踏み跡を時々失うがなるべく沢から離れて急登する。振り向けばシダンコ山、高松山の向こうに箱根連山、霞んだ相模灘。


左奥は愛鷹山、中央に富士山、右奥に御坂山塊 手前左は桧岳山稜、手前右は西丹沢の山

鍋割峠を挟んで二つのコシバ沢がある。峠を越えた北側のコシバ沢は玄倉川に注ぎ込む。紛らわしいので、これまで遡上してきた沢は寄コシバ沢と呼ばれている。鍋割峠には馬頭観音像が鎮座する。峠から左(西)へ上れば雨山、右(東)は鍋割山。ひと休みの後、山頂を目指して急登する。立札がある。「この先寄方面 滑落注意」 上りを阻む40cm程積もった雪。先に登った人がつけた圧雪された靴跡どおりに歩を運ぶ。なんとコースタイム25分のところ50分で山頂へ。

「この先崩落箇所あり厳重注意」の立札辺りは丹沢主脈の絶好のビューポイント。鋭鋒の同角ノ頭、円頂の桧洞丸、臼ヶ岳、丹沢最高峰の蛭ヶ岳、不動ノ峰、棚沢ノ頭。深い雪、凍てついた階段。樹林を抜けると西南方面の好展望の地。相模灘、真鶴半島、箱根連山、御坂山塊、西丹沢、その後方に愛鷹山、富士山。静かな鍋割山頂。先着しているハイカーは僅か二人。聞くところによると小丸尾根は通行禁止だという。それではと、アセビに囲まれた鍋割尾根から山を降りる。


快晴 単独行 歩行距離=14km 歩行時間=7時間25

JR松田駅730⇒(富士急湘南バス)⇒800
805835やどりき水源林入口→850雨山峠登り口9051015釜場平10301040寄コシバ沢出合10451200鍋割峠12101300鍋割山13201435後沢乗越→1530二俣15401645大倉
大倉1652⇒(神奈川中央交通)⇒1705小田急、渋沢駅