滝子山3 たきごやま) 

278 2016/10/26(水) 滝子山、三角点峰1,590m ← 滝子山、最高点1,620m ← 浜立山1,482




よく晴れた日、滝子山へ登る。長い夏が続くと、地震、豪雨、台風による大災害の秋を迎える。山に暫くご無沙汰した理由はそれだけではない。もう2年目の後期高齢者、急に体力が衰えて、山行がきつくなってきた。登るなら日帰り、路程10km、5時間以内で登れる山しかない。つまり、おばさんの散歩道さ。思いついたのは浜立尾根から浜立山を越えて滝子山へ上るバリルート、路程13km、標高差1,000m、コースタイム6時間以上。今の僕にはきつそうだが、登ってみたい。

まず、国道20号線甲州街道を歩く。走り去る自動車に煽られてはためく幟、笹子名物の笹子餅と笹一酒造。吉久保入口バス停入口まで15分、北へ向かって集落に入る。前方に滝子山の山体が立ちはだかる。左の円頂の山が浜立山、右の鋭鋒が滝子山。濡れた舗道を歩いて桜公園を通過、大鹿橋を渡ると右手に寂しょう庵入口。2年前、寂しょう尾根から滝子山へ上ったその入口。歩き疲れて1時間、やっと道証地蔵に到着する。2台の車で来た7名が登山の準備をしている。

一日中富士山が見えた日 富士山の手前は御坂山塊の三ッ峠山、中央やや右に黒岳、鋭鋒の釈迦ヶ岳


道証地蔵から一般登山道を下って大鹿沢に架かる橋を渡る。沢の右岸を高まいて上る薄暗い針葉樹林。浜立尾根の取り付きを見落とすまいと、山側の目印に目をこらす。とうとう右への曲がり角まできたが、ネットにあるような幹に巻かれた目印のテープや道形は見つからない。この尾根の末端が浜立山の取り付きに間違いない。ええい上っちまえと斜面を上りだす。山地図にないバリルートだから勿論道標なぞない。枯葉や小枝を踏んで下生えのない桧の森を強引に上る。

尾根は外さずに上れ。急登につぐ急登。時折、幹に巻かれた古びたリボンテープを散見する。取り付きから20分、林相は陽光を遮る針葉樹林から、明るい緑の広葉樹林に変わる。コナラ、ミズナラの稜線も、上るにつれて黄色に色づいてくる。樹林の南側から御坂山塊や笹子の集落が見える。傾斜が緩んで、もしや寺平。行く手を遮る大岩。これから山頂まで幾多の大岩を巻き、越えてゆく。気付かなければ通過してしまいそうなコブが浜立山。山名を記した私製の貼り紙がある。

南大菩薩連嶺の山々 左から大谷ヶ丸、破魔射場丸 その後方は黒岳、雁ヶ腹摺山 左奥は金峰山


前方、枝葉越しに黄葉の山肌を晒した滝子山が見えてきた。やせ尾根を通過。右手が少々開け、三ツ峠山を前にして富士山がくっきりと見える。初めての道標は寂しょう尾根への降下点。「滝子山」、「浜立山」を指す道標のほか、「寂しょう尾根 滑落多発、危険」の立札がある。一旦、鞍部まで下り、岩場上りを強いられて上り返す滝子山。山頂には「山梨100名山」、「秀麗富嶽12景、12番山頂」の標識が立つ。東西に細長い山頂には、既に10名程のハイカーが賑やかに食事中。

快晴にして無風。三度目の滝子山だが、今日に優る遠望できる日はあるまい。南に三ツ峠山、御坂山塊、その後方に富士山、南アルプス。北へ目を転じれば南大菩薩の山々が連なる。大谷ヶ丸、破魔射場丸、黒岳、雁ヶ腹摺山。さて下山はいつものように南へ延びる尾根を初狩へ。下って5分、三角点峰1,590m。三角点があるが故にこの東峰が滝子山の公式の山頂らしい。この後、男坂に悩まされ、荒れた大沢下りに疲れ果て、夕闇せまる藤沢集落に出る。やっと帰れるぞ。


快晴 単独行 歩行距離=132km 歩行時間=7時間

JR中央線、笹子駅830900道証地蔵9:059:20浜立山取りつき9:2511:30浜立山11:4012:40滝子山13:001305三角点峰→13:50桧平14:0014:40藤沢降下点14:5014:45藤沢15:1517:00JR中央線、初狩駅