伊勢沢ノ頭3いせざわのあたま

274 2016/4/26(火) 桧岳 1,167m → 伊勢沢ノ頭 1,177m → シダンコ山 758




快晴、無風。静かな寄の里、畑に鍬を入れる老人。水音高い中津川に沿って県道710号、神縄神山線を北上する。ひらりと舞うモンキチョウが導く先は、朝日を浴びた新緑の桧岳山稜。寄水源の森ゲート前の駐車スペースには、マイカーは1台もない。左折して赤いアーチ橋の寄大橋を渡る。広い河原を埋める真っ白な石。遥か上流に、あれは鍋割山。車止めゲート脇を擦り抜けて秦野峠林道に入る。周遊歩道Aを遣り過ごし、10分ほどで成長の森入口に着く。桧岳への登り口。

杉の森、よく整備された山道を緩やかに上って成長の森広場。成長の森とは19年から21年にかけて杉や桧を伐採した後に、赤ちゃんが生まれた家族が広葉樹の苗木を寄付して植樹した事業だという。以前見かけた「登山道」の道標が失せている。階段上りから始まる九十九折れの登山道を上ること1時間、単調な杉の森を脱して広葉樹林に入る。雰囲気は一変する。新緑の森に赤紫のミツバツツジ、下生えに薄紫のタチツボスミレ。草地を急登して桧岳山稜の背に乗る。

桧岳山頂 伊勢沢ノ頭より10m低い 伊勢沢ノ頭の西側の肩に富士山が見える


樹林に囲まれた桧岳の山頂。休みがてら、梢越しに丹沢主脈の山々を眺める。蛭ヶ岳、棚沢ノ頭、不動ノ峰。桧岳から伊勢沢ノ頭を越す稜線の道は、起伏の少ない天井のプロムナードが続く。芽吹き始めた広葉樹林、小鳥の囀り。ちょっと待て、蛇が尾根道を横切るぞ。樹林が途切れて草地を下る。ダルマ沢の頭やシダンコ山が眼下に見える。道標に従って直角に右折する。前方に伊勢沢ノ頭、西側の肩に富士山が覗く。稜線をそのまま真っすぐ降ると踏み跡が消えてしまうという。

山神峠への降下点を通過。樹林の中に伊勢沢ノ頭。桧岳より標高は10m高い。下りの雰囲気がまたいい。前方に箱根山塊、湘南の海。草地に咲く薄紫色のタチツボスミレや黄色いキスミレ、新緑の山にヤマザクラ。鎖に縋って崩落地点を巻く。秦野峠は針葉樹林の中。全身赤い装いをしたハンターが居る。朝から一頭の鹿も見かけないと言う。以前にあったベンチはもうない。左手の山道は廃道。堰堤の上に出て動きがとれなくなるという。針葉樹林を下り崩壊が激しい涸沢を渡る。

ミツバツツジ アセビの茂みに囲まれたシダンコ山の山頂


初めて伊勢沢ノ頭を下ったときに間違えた日影山分岐、今は道標が立てられている。両側から迫る鹿柵に挟まれながら降って林道秦野峠。疲れ果てて小園地へたり込む。いっそのこと、このまま秦野峠林道を歩き、寄大橋を渡って寄バス停へ戻ろうか。それとも、この峠から分岐する虫沢林道に入り、ダルマ沢ノ頭をバイパスしてシダンコ山を越えようか。矢張り、もうひと踏ん張りして、当初の予定どおりダルマ沢ノ頭とシダンコ山を越えて戻ろう。さあ出発、重い尻を上げて歩き出す。

虫沢林道を歩き始めて50m、右法面にシダンコ山への登り口がある。鬱蒼とした杉の森、丸木の階段を直登する。高松山分岐を遣り過ごす辺りで、重い足どりで上る僕を尻目に、中年のおっちゃんが飛び跳ねるように階段を駆け下りてくる。ダルマ沢の頭は樹林の中、山頂からの下りは辛い。鞍部は虫沢林道、上り返して女坂を上る。アセビに囲まれたシダンコ山、あとは下るだけ。猪侵入防止柵を出ると、畝仕立ての足柄茶の茶畑がある。その先に寄集落。ゴールが見えた。


晴れ 単独行 歩行距離=135km 歩行時間=7時間10

小田急線、新松田駅730⇒(富士急湘南バス)⇒755
800835寄大橋→845成長の森入口8501045主稜線→1050桧岳11051135伊勢沢ノ頭11401235秦野峠12451315林道秦野峠13251405ダルマ沢ノ頭1410→虫沢林道→1455シダンコ山15051610
1655⇒(富士急湘南バス)⇒1720小田急線、新松田駅