桧岳4 (ひのきだっか) 

269 2015/11/28(土) 桧岳 1,167m ← 雨山 1,176




玄倉(くろくら)  新青崩隧道(しんあおくずれずいどう)  寄(やどりき)


紅葉が平地に降りてくれば山の秋は終わる。それでも紅葉の山を歩きたい。丹沢の紅葉といえば玄倉川を遡るユーシン渓谷。雨山橋から支流の雨山沢を遡上して雨山峠へ。更に桧岳山稜を縦走しよう。歩行距離17km、6時間の歩き。きついが、ガレ場がないし、木段も少ない。歩くに耐えられないときは、引き返すか雨山峠からエスケープすればいい。今の僕の体力では距離8km以内、4時間で登り終える山がふさわしいのだが。まさに小学生の遠足か、おばさんの散歩道。

小春日和の土曜日、満員の路線バスを玄倉で降りる。明29日は丹沢湖紅葉マラソンだとさ。玄倉川の左岸に沿って玄倉林道を遡る。里山の朝は寒い。湖面の向こうに真っ白な富士山が見える。身体が温まってきた。車止めゲート前でジャケットを脱ぐ。二つ目のトンネルが新青崩隧道。青崩隧道に崩落の兆が見えたため通行禁止。新たにトンネルを掘削し4年前に竣工した。全長327m、S字に湾曲しているため真っ暗。このトンネルだけは灯を点けないと通過できない。


雨山沢の少しばかりの滑滝 雨山山頂、遥かに見える箱根連山、相模湾 


七つのトンネルを通り抜け、二つの発電所を通過する。滅多に人に遭うことのないこの林道に、今日は往き来する人が多い。尊仏山荘から下ってきた人達、明日に備えて下見のジョギングする輩。広い河原を埋める白い大石、堰堤に淀む真っ青な水。期待に反して紅葉は見るべくもない。終期、もしくは外れ年か。林道を歩いて2時間、雨山沢を渡ると杉林。ここに雨山峠への登り口がある。注意板、「危険 これより雨山峠まで沢沿いの登山道です 荒天時は通行しないで下さい」

雨山沢を高巻いて右岸の登山道を往く。歩き始めはアルミ板の敷かれた桟道。右岸に刻まれた登山道にはところどころに崩落個所がある。そこには河原に降りる鉄パイプで作られた梯子と立札がある。「登山道 沢筋の迂回のため増水時の通行禁止」 この先何回も一旦河原に降りてゴーロ歩きを繰り返す。木橋を渡り、壁面に水平に張られた鉄鎖に助けられて隘路を進む。小さくも美しい滑滝がある。沢を遡行するうちに流れは細くなる。流れがなくなると源頭、雨山峠に近づく。

厚く積もった落葉を蹴散らせてじぐざぐ道を上れば人声がする。雨山峠。乗越せば寄へエスケープできる。数人のハイカーがテーブルベンチを囲んでいる。昼食を摂り終わった3人組が右の尾根を桧岳山稜へ、単独行の若者が左の尾根を鍋割山へ消える。登山経験が浅いのか、しきりに鍋割山へのルートを聞いていた人を残して、僕は桧岳山稜へ取り付く。上り始めはアセビが茂り、緑の苔蒸すやせ尾根。樹間から富士山を遠望し、振り向けばのしかかるように鍋割山が聳える。


桧岳山稜から見る富士山 桧岳山頂は樹林の中


木段を急登して傾斜が緩めば雨山。開けた南面から箱根連山や相模湾に突き出た真鶴半島が霞んで見える。雨山から桧岳を過ぎるまで、ブナ林が続く気持ちいい山上のプロムナード。落葉した樹林から丹沢主稜の山々を見る。塔ノ岳、丹沢山、蛭ヶ岳、桧洞丸。それに富士山。前方に桧岳が見える。一旦鞍部まで70m下り、難なく上り返して樹林の中に桧岳。このまま桧岳山稜の縦走路を進めば、伊勢沢ノ頭を越えて林道秦野峠に下山できるが、成長の森へショートカットする。


成長の森への降下点を探す。バリ道だから当然のこと、道標はない。主稜線から外れて左斜面に注意して進めば、それらしき薄い踏み跡が現れる。踏み込めば土がずるずると崩れる草地の急斜面。やっと杉の森へ入る。じぐざぐに何度も折り返して成長の森。子供が生まれると親が杉や桧の苗木を寄付して植栽する事業だが、数年前に終了している。傾斜が緩んで林道へ、ほどなく寄大橋を渡る。寄のバス停に着くとバス待ちの長い列。立ちん坊のバスに揺られて帰路につく。


快晴 単独行 歩行距離=169km 歩行時間=6時間40

小田急線、新松田駅730⇒(富士急湘南バス)⇒815玄倉
玄倉820855車止ゲート900935新青崩隧道→1020雨山橋10251120雨山峠11301220雨山→1255桧岳13051315成長の森降下点→1430成長の森14401450成長の森入口→1455寄大橋→1530
1540⇒(富士急湘南バス)⇒1605新松田駅