国師ヶ岳 こくしがたけ)

266 2015/9/19(土) 国師ヶ岳 2,592m → 北奥千丈岳 2,601m → 奥千丈岳 2,409m




大弛(おおだるみ)峠  三繋(みつなぎ)平  金峰(きんぷ)山  乾徳(けんとく)山


シルバーウィークになると、降り続いた秋雨も暫しのお休み。とはいえ、シルバーウィークの初日は怪しい雲行き。一抹の不安を抱いて長蛇の列に並び、事前予約した季節運行バスを待つ。小型バスは総勢25人を乗せ、彼岸花を揺らしてブドウ畑を抜け、カラマツ林を駆け上がる。乙女湖畔、柳平で乗合タクシーに乗り換える。ここからは「11人乗り以上の車両は通行禁止」の川上牧丘林道。雲が流れる林道を上ってゆくと、「今日は朝日岳や金峰山が見えない」と運転手さん。

大弛峠の駐車スペースに入りきれないマイカーは、峠のはるか手前から駐車している。標高2,365m、車で越えられる峠としては日本一標高の高い峠だという。このまま峠を越えれば長野県、未舗装の悪路に変わる。道標がある。「←朝日岳・金峰山2時間30分」、「国師ヶ岳60分・甲武信ヶ岳6時間→」 金峰山は日本100名山、国師ヶ岳は日本300名山となれば、殆どのハイカーは国師ヶ岳に背を向けて金峰山へ向かう。泣きそうな空を見上げて、鬱蒼とした樹林へ入る。

国師ヶ岳 国師ヶ岳から見る北奥千丈岳


小屋番と挨拶を交わし、大弛小屋を通過する。宿泊¥75k、山小屋カレー¥800、あちあちおでん¥500。大弛小屋から国師ヶ岳までは県境尾根を歩く。鬱蒼としたシラビソの樹林。丸木の階段からガレ場を上り、コツコツと靴音を響かせて、木道から丁寧な造りの木の階段上る。滑り易い濡れた木の階段。夢の庭園は帰路に寄ることにして分岐を通過する。どこまでも続く木の階段、巨岩の間を縫って上れば、樹林にシャクナゲが増え、色付いたナナカマドが黒森に色を添える。

視界が開けて前国師岳。地図には載らない山。標高は凡そ2,580m。遠くの山は見えないものの、すぐそこになだらかな山容の北奥千丈岳と、その左奥に国師ヶ岳が見える。シャクナゲの群生、林立する立枯れのシラビソ、紅葉のナナカマド、それは一幅の絵。歩いて数分、三繋平。ベンチに休む人達。三繋平は10分以内で前国師岳、国師ヶ岳、北奥千丈岳へ上ることができる分岐点。「←国師ヶ岳、甲武信ヶ岳、西沢渓谷」の標示を見てシラビソの林を抜ければ国師ヶ岳の山頂。

国師ヶ岳は一等三角点の山。山名の由来は国士無双に非ずして、夢窓疎石に因る。花の100名山、山梨100名山、日本300名山。然るに花の季節はとうに過ぎ、今日は展望も得られない。大岩に腰を下ろして食事中のハイカー達。白い雲が流れて、すぐそこにある北奥千丈岳を覆い隠す。南アルプスや富士山は勿論のこと、金峰山や朝日岳すらも厚い雲の中。このまま県境尾根を東に行けば、甲武信ヶ岳を経て奥秩父主脈縦走路だが、踵を返して三繋平に戻り北奥千丈へ。

北奥千丈岳 夢の庭園


コメツガやハイマツが増えてきた。大岩の間を擦り抜けて北奥千丈岳。国師ヶ岳同様、開けた山頂に散在する大きな岩。北奥千丈岳は奥秩父の最高峰の山。雲の切れ目から国師ヶ岳が時折覗く。シラビソの黒森に点在する紅葉。展望は諦めて、北奥千丈岳から派生する石楠花尾根を南下し、奥千丈岳へ向かう。巨岩の間を抜けるとシャクナゲとコメツガの茂みが行く手を阻む。藪を漕いで進めば、コメツガの枯葉やゴミが衣服に纏わりつく。茂みを突破してシラビソの樹林を下る。

今日は誰も歩いていない尾根道。踏み跡を見失っても、立木に括りつけられた赤いリボンテープが登路を導いてくれる。石楠花尾根というが苔の尾根。緑の苔は倒木や樹木までも覆いつくす。坦々と下って奥千丈岳。樹林の中の展望のない山頂。このまま進めば黒金山、乾徳山へ尾根は続く。復路には夢の庭園に立寄る。巨岩の間の階段展望台。雲が静かに流れて山を越えてゆく。上りは楽だが下りは泣きの階段。踏み込めば膝にずしんと響く。そろりと下って大弛峠へ帰る。


曇り 単独行 歩行距離=58km 歩行時間=3時間35

JR中央線、塩山駅北口820⇒(栄和交通バス)⇒910柳平915⇒(乗合タクシー)⇒945大弛峠
大弛峠9501025前国師岳→1040国師ヶ岳10501105北奥千丈岳11101200奥千丈岳12101315北奥千丈岳13251335前国師岳→1400夢の庭園14101420大弛峠
大弛峠1430⇒(乗合タクシー)⇒1500柳平1525⇒(栄和交通バス)⇒1610JR中央線、塩山駅北口