小楢山 こならやま)  

#263 2015/6/13(土) 小楢山 1,713m → 大沢ノ頭 1,673




梅雨に入っても3日に1日は晴れるという。その梅雨の晴れ間に、レンゲツツジの咲く山、小楢山を登る。中央線、塩山駅北口から事前予約してあった栄和交通の焼山峠行のバスに乗る。6月から11月までの土曜、休日に季節運航するバス。満席のバスは牧丘の巨峰畑を通り過ぎ、柳平に着くと驚いた。僕以外の乗客、47名が降りてしまう。彼らは乗合タクシーに乗り継いで大弛峠へ走り去る。ひとりだけ残った僕を乗せたバスは、クリスタルラインを南下して焼山峠へ向かう。

バスはロータリーの片隅に停まる。峠から焼山林道を下れば鼓川温泉へ、右折すればクリスタルラインは乙女高原へ続く。既に駐車中の5台のマイカー。トイレ棟、焼山峠遊歩道や小楢山登山路の案内板がある。道標を見て歩きだす。石祠に収まるお地蔵様と、それを取り囲む数十体のお地蔵様が置かれている。子授地蔵。「夫婦に子供が授からないとき、子授地蔵様を誰にも見られないよう一体持ち帰り、毎日お祈りをし、子供が授かったら二体にして元に返し祀っておく」とさ。

錫杖ヶ原、レンゲツツジが見頃 小楢山の山頂、すぐそこに大沢ノ頭


小楢山の登山コースはホテルフフを起点とした母恋し路・父恋し路を辿る中級者コース、鼓川温泉から妙見山を越えて上る健脚者向けコースがあるが、この焼山峠コースは標高差僅か180mほど上ればいい楽勝コース。歩き始めは防火帯を上る。小さなコブを上り下り。これが案外辛い。樹林はカラマツが目立つ自然林。フキやシダの群生地がある。もう下りてくる人がいる。「レンゲツツジが見事に咲いていますよ」と言う。七つのコブを越えると、新道・旧道分岐で防火帯が終る。

前をゆっくりと歩いていたカップルが、見晴しのいい新道を上りだしたので、僕は旧道の巻き道を行く。林床は大きなシダの茂るカラマツ林。エゾハルゼミの大合唱。緩やかに上ると縦に亀裂が入った大岩が散見する。高さ5mほどの楕円形の岩が傾いている。的岩。登山道から10mほど離れた距離、誰でも的に当てられるさ。新旧両道が合流すると登山道はまた分岐する。小楢山へ直登する道と小楢山を巻く道。ちょろちょろと湧き出る水場、一杯水。小楢山への道は急になる。

ダケカンバやシラカバの樹林に、今が見頃のレンゲツツジが群生する、錫杖ヶ原。新緑の山に橙色の花が鮮やかに映える。レンゲツツジの中を通り抜けると小楢山、二等三角点峰。その昔、夢窓国師の修行の地といわれ、古那羅山と命名したという。草地の山頂に山梨百名山の標柱、方位盤がある。小楢山、霊山古那羅山、小楢山景観保存地区の案内板が立つ。北側を除いて開けた山頂。見える筈の富士山、奥秩父、南アルプス、八ヶ岳連峰は生憎の曇り空、遠望はできない。

幕岩の上部 大沢ノ頭の山頂、四等三角点がある


小楢山を下ると十字路をなす小楢峠。右から巻き道が合流し、左折すれば母恋し路、直進して山腹をへつれば、枝木に隠れた巨岩がそそり立つ。これが幕岩。南と北に割れた岩の合わせ目、そこに垂れさがる鎖に縋って幕岩を上る。最後に小さな岩を潜って南側の岩の上に乗る。幕岩の上部は平坦だが傾斜している。北と南の岩、それぞれにカップルが腰を下ろしている。360度開けた岩峰なるも、すぐ近くの山しか見えない。北に小楢山、その右肩に乾徳山、すぐ南に大沢ノ頭。

幕岩から5分で大沢ノ頭、四等三角点峰。山頂に「大沢山頭」との山頂標識が立つ。道標がある。南へ下れば父恋し路から窪平へ、南西へ下れば妙見山を越えて鼓川温泉を標示している。復路は小楢峠から小楢山を巻いて一杯水。新道からも的岩が見える。北に広がる山々を見ながら焼山峠に戻る。早すぎた下山。予定よりも1時間半も早い。帰りのバスは2時間待ち。暇つぶしに焼山峠の周辺を散策すれば、レンゲツツジやアヤメが花開き、ハルゼミが鳴く。もう初夏の装い。


晴れたり曇ったり 単独行 歩行距離=75km 歩行時間=3時間40

JR中央線、塩山駅北口830⇒(栄和交通)⇒920焼山峠
焼山峠9301000新旧道分岐1010→(旧道)→1020一杯水→1030小楢山10451100小楢峠→1120幕岩11351140大沢ノ頭11451205小楢峠→(小楢山を巻く)→1215一杯水→(新道)→1235新旧道分岐→1310焼山峠
焼山峠1520⇒(栄和交通)⇒1615塩山駅北口