大界木山だいかいぎやま

262 2015/6/2(火) 大界木山 1,246m ← モロクボ沢の頭 1,190m ← 畦ヶ丸 1,292




西丹沢を北から南へ向かって流れる中川川。その中川川を挟んで対峙するのは、東の桧洞丸と西の畦ヶ丸。だが人気度は大違い。一年中ハイカーで賑わう桧洞丸に比し、畦ヶ丸は訪れる人も少なく静かな佇まいの山である。畦ヶ丸から甲相国境の稜線を辿り、大界木山を越えて道志に降りてみたい。真夏のような暑い日と少雨の5月、それは今日まで。明日からは雨模様になるらしい。谷峨駅で路線バスに乗れば満員、僕は西丹沢自然教室まで立ちどおしを余儀なくされる。

西丹沢自然教室から畦ヶ丸へ向かうのは僕ひとりのようだ。揺らり揺られて渡る吊橋は中川川に架かる西丹沢自然公園橋。杉林を抜けると中川川の支流、西沢の右岸を歩く。これから1時間は西沢と西沢に流れ込む枝沢を遡る河原を歩く。森閑とした山を震わす滝音が近づいてくる。大堰堤から流れ落ちる水。鉄梯子を上って堰堤を越える。この先、西沢に架けられた木橋を右岸から左岸へ、左岸から右岸へ何度も渡り返す。数えれば15の木橋を渡り、3つの堰堤を越える。

西沢とその枝沢に架かる木橋を計15回も渡る 尾根道はブナ林


城ヶ尾峠までは東海自然歩道の一部。適所に道標やベンチが設けられ、流失した木橋もないのは有難い。西沢の右岸の砂地に二つのベンチが置かれている。道標には権現山の標示が取り除かれているが、紛れもなく権現山の登り口。更に進めば下棚沢出合と本棚沢出合。それぞれ落差40mの下棚ノ滝と50mの本棚ノ滝だが、先を急いで遣り過ごす。沢辺から離れて杉林を急登する。上り着くと、アセビに囲まれた小平地。ふたつのベンチが置かれている。ここでひと休み。

新緑の枝葉を抜ける気持ちいい風が吹く。山を彩るヤマツツジ。おっとご用心、白ザレの急斜面を下り、丸木の長い階段を上る。下ったやせ尾根は善六のタワ。「タワ」とは「たわむ」のこと、つまり鞍部のことだという。ベンチを通過、また丸木の長い階段を上る。登路が緩やかになると樹相はブナやカエデの美林に変わる。これから城ヶ尾峠までは新緑のプロムナードを歩む。尾根を越す風に乗って聞こえる、あれはハルゼミの声。避難小屋まで200mの標示で途端に元気になる。

誰も居ない畦ヶ丸。三角点、山頂標識、道標、ベンチ、白石峠補修記念碑のケルンがある。樹林に囲まれた山頂は展望がない。畦とは丸い塚のこと、まさに畦ヶ丸の山容を表している。山頂直下にひっそりと避難小屋がある。ヘルメットを被った若者がベンチに休んでいる。権現山分岐の手前で僕を追い越した人だ。僕は右折してモロクボ沢の頭へ下る。ご夫婦と擦れ違う。この山で出会った3人目の人。ブナの大木とヤマツツジが咲く尾根道、鎖に縋って白ザレの急斜面を下る。

畦ヶ丸山頂 三角点、ベンチ、白石峠補修記念碑
がある
大界木山山頂


南斜面が開けたところから僅かに雪が残る富士山を望む。緩やかに下ってモロクボ沢の頭。漢字で書けば諸窪沢ノ頭。展望がない山頂。ベンチと道標がある。モロクボ沢の頭から城ヶ尾峠までは甲相国境を歩く。樹林が途切れて展望が広がる。大きな山容の不老山。箱根連山の神山、金時山。鞍部から上り返して大界木山。今日の山行で最後のピーク。この山頂も展望がない。ぽつんと立つ山頂標識。大きなケヤキがある山が転じて大ケヤキ山、さらに大界木山となったらしい。

浦安峠から鳥ノ胸山へ通じる分岐を遣り過ごして、ぐんぐんと下る。林床のササが深くなる。おや、ホトトギスが鳴いている。上り返して城ヶ尾峠。ベンチが置かれ、「城ヶ尾峠標高1160m」の棒杭が立つ。そのまま進めば菰釣山から高指山へ続く尾根。もう下山するだけ。道志へ下るトラバース路が崩れかかっている。肩の高さに張られた鎖に掴まって凌ぐ。鬱蒼とした林から林道に出る。道志の森キャンプ場脇を通過、別荘地を抜けるものの、道の駅どうしが分からない。どうしよう。


晴れときどき曇り 単独行 歩行距離=109km 歩行時間=5時間40

JR御殿場線、谷峨駅750⇒(富士急湘南バス)⇒825西丹沢自然教室
西丹沢自然教室830915下棚沢出合→945アセビに囲まれたベンチ9551030善六のタワ→1115畦ヶ丸11251150モロクボ沢の頭→1240大界木山12501310城ヶ尾峠13201420道志の森キャンプ場→1450道の駅どうし
中山1520⇒(富士急山梨バス)⇒1550旭日丘1550⇒(富士急バス)⇒1710JR御殿場線、御殿場駅