太刀岡山 たちおかやま)  

254 2014/11/19(水) 太刀岡山1,326m → 弥三郎岳1,058




鋏(はさみ)岩  越道(こいど)峠  鬼頬(おにがわ)山  夫婦木(めおとぎ)神社

昇仙峡の西北に連なる山がある。曲岳、升形山、黒富士、鬼頬山、太刀岡山。このうち曲岳から黒富士までは7年前に登った山。残りの頬山と太刀岡山を登りたいが、バス時刻も考え併せるとどうもピースが合わない。そこで太刀岡山から羅漢寺山へ足を伸ばせば、なかなかいい山歩きになりそうだ。難点は路程の半分が林道や県道歩くこと。昇仙峡へはグリーンラインを利用するのが一般的だが、太刀岡山登山口のある清川へは、金桜神社経由の昇仙峡行きのバスに乗る。

清川でバスを降りたのは僕ひとり。秋深し、好天の朝。亀沢川に沿って里道を北へ向かう。点在する民家、人影はない。右前方にこんもりとした紅葉の山。もしや太刀岡山、あれが鋏岩。対岸に「太刀岡山登山道入口」と大書された案内板がある。橋を渡ると民家の石垣にも立てかけられた道標がある。民家脇の小道を進んで竹林に入る。そこに動物除け保護柵の扉がある。「熊、出没注意」の看板を睨んで展望のない杉林を急登する。植生はブナに変わる。おや人声が聞こえる。

太刀岡山頂 茅ヶ岳と金ヶ岳が見える 弥三郎岳山頂 花崗岩の山頂に三等三角点


前方に立ちはだかる大岩はボルタリングの練習所。垂直の壁面に打ちこまれた幾本かのボルト。長野から来たという若いカップルが嬉々として岩に張り付いている。岩の基部には小祠がある。大岩を左から回り込むと壁面の裏側にもボルトが見える。そのまま山腹を登ろうとするが踏み跡が見つからない。厚く積もった落葉の斜面を行きつ戻りつ踏み跡を探しあぐね、諦めて上り始めの地点に戻る。なんと斜上する登山道があるではないか。10分のロス。黙して上れば鋏岩に着く。

絶壁の上にそそり立つ鋏岩にもボルトが撃ち込まれている。岩の右手から下芦沢集落を隔てて茅ヶ岳、金ヶ岳が見える。あの深田久弥、終焉の山。傾斜がより強くなった登山道を、小さなじぐざぐを描いて上る。すっかり落葉した広葉樹林。太刀岡山に登頂する。誰もいない山頂。山名の由来は刀剣が出土することがあり、また日本武尊が東国征討からの帰途、太刀をこの山に置いて行ったことによるという。山頂には、三等三角点、山梨100名山の標柱、ふたつの小祠がある。

茅ヶ岳の左後方に鳳凰三山や甲斐駒ヶ岳を見る。静かな山頂を後に気持いい稜線を北へ辿る。鞍部から上り返して太刀岡山北峰に上る。南峰より標高は高いものの、三角点も、山頂標識も、展望もない山頂。休憩中の数人のグループと挨拶を交わして山を下る。落葉を蹴散らし、土を崩して急斜面を下りる。落葉した枝木を通して曲岳、鬼頬山、黒富士を垣間見る。越道峠からは草鹿沢林道を下る。樹林は杉林から唐松林、自然林へ。揺れる枯れススキ、紅葉した太刀岡山。

パノラマ台から見る奥秩父 左から茅ヶ岳、金ヶ岳、その手前は太刀岡山
その右奥は曲岳、鬼
山、黒富士、右後方に金峰山


林道は草鹿沢町でグリーンラインに合流する。赤い鳥居の金桜神社、ついで夫婦木神社を通過。右手に「羅漢寺山」への道標がある。登山道にしては二車線もある舗装道路は、車一台分が通れる未舗装の林道に変わる。こんな幅広の道が本当に登山道だろうかと訝しんで歩く。ロープウェイのアナウンスが聞こえてひと安心。羅漢寺山への直前に、「車での侵入者関係者以外立入禁止」の立札がある。左折するといつの間にか道が消えている。失敗った、直進でよかったのだ。

観光客が屯するロープウェイの山頂駅前に出る。弥三郎岳、展望台、パノラマ台を総称して羅漢寺山と云う。山頂広場の一角に八雲神社。金桜神社や夫婦木神社と同様、八雲神社も夫婦和合の神として祀られている。展望台から見る富士山、御坂山塊の竜ヶ岳、毛無山、三方分山。北に目を転じれば、茅ヶ岳、曲岳から金峰山まで見える。羅漢寺山は花崗岩の岩峰と赤松の山。まさに白砂青松の山。観光客と一緒に、白ザレの稜線を弥三郎岳へ上る。そろそろ下山の時刻だ。


快晴 日帰り 単独行 歩行距離=11km 歩行時間=4時間40

甲府駅バスターミナル915⇒(山交タウンコーチ)⇒955清川
清川10001055挟岩11001130太刀岡山11351145北峰11501205越道峠12101300草鹿沢町バス停→1325夫婦木神社→1330羅漢寺山登山口→1415パノラマ台14201435弥三郎岳14451455パノラマ台1500⇒(昇仙峡ロープウェイ)⇒1510仙娥滝→1520昇仙峡滝上
昇仙峡滝上1552⇒(山梨交通バス)⇒1640甲府駅バスターミナル