森吉山 もりよしやま 

251 2014/9/29(月) 森吉山 1,454m 日本200名山




夜はまだ明けきらず、蝙蝠が飛び交う頃、角館から内陸線の始発電車に乗る。朝霧をものともせずに、快速電車はマタギの里を突っ走って1時間半余り、阿仁前田駅に着く。駅前には予約した森吉山周遊タクシーが待っている。太平湖を過ぎ山道を駆け上がってこめつが山荘に到着する。周遊タクシーは、鉄道駅や空港から森吉山の各登山口まで、格安料金の定期便が運行されている。阿仁前田駅からヒバクラ登山口へ、JR鷹ノ巣駅・阿仁合駅から阿仁スキー場への便もある。

様田コースは山荘の右から上り始める。気持ちいいカラマツ林から、ほどなくゲレンデに出る。廃業した森吉スキー場跡、リフトも撤去されている。ゲレンデの草地を上る。笹に結ばれた赤いリボンを見つけ、その先、右の樹林の入口に道標が立つ。見落とさなくてよかった。展望のない自然林に入る。6合目、勘助道分岐。標高は1,000mを越える。紅葉し始めたブナ林にオオシラビソが増えてくる。積み重なった丸い露岩を上りつめると、突然視界が開ける。一ノ腰、標高1,265m。

一ノ腰山頂 初めて姿を現した森吉山 冠石 森吉神社のご神体


連瀬沢の深い渓谷を挟んで、初めて森吉山を見る。ゆったりとした裾野を構えて堂々とした偉容。笹の斜面にオオシラビソの山腹。森吉山は成層火山。一ノ腰、前岳、ヒバクラ岳などの外輪山に囲まれ、主峰は中央火口丘の向岳、地図上では森吉山。露岩を下る。傾斜は緩み木道が始まる。雲嶺峠、松倉コースとの合流点を通過。オオシラビソの林と湿原や青空を映す池塘が交互に現れる。森吉山は花の100名山と呼ばれるが、今は草紅葉が始まった草原にリンドウが咲くだけ。

前岳、標高1,271m。森吉避難小屋と並んで森吉神社が建つ。社殿の後ろには鬼が積み上げたという奇岩の冠岩がある。これがご神体。社殿に吊るされた鐘は神様とは関係なく、クマ除けの鐘だとさ。緩やかに上って石森、標高1,308m。数脚のベンチが置かれた戸鳥内コースとの合流点。週末ともなれば、阿仁スキー場のゴンドラリフトの山頂駅から観光客がどっと上ってくるらしい。石森から左回りに円弧を描きながら湿原や池塘を通り過ぎ、ぽつんと佇む阿仁避難小屋に着く。

木道が尽きると森吉山の山頂まで浮石のガレ場が続く。ベンチの置かれた休憩所は稚児平。初夏ならばチングルマの群生地だという。そう云えば、稚児車が訛ってチングルマになったと聞いたことがある。労せずして森吉山の山頂へ。崩れたケルンの上に山頂標識、その前に一等三角点がある。頭部がない3体の石仏と1体の光背をもつ石仏がある。食事中のおじさんが居る。この山ではじめて出会った人。なんだ、青いシートに包まれた工事用資材があちこちに置かれている。

前岳に建つ森吉避難小屋 冠石 森吉山 ササの林床にオオシラビソ


東斜面、森吉山最大のお花畑といわれる鶴ヶ岱も、眼下に見える山人平湿原も、この季節にはただの草原と化している。今日はよく晴れているが日本海も東北の名山も霞んで定かではない。下山は、まず往路を雲嶺峠まで戻る。露岩が積み重なった一ノ腰を避けて松倉コースに入り、途中から勘助道を下って6合目へ辿る予定。しかし雲嶺峠の道標を確認して驚いた。一ノ腰を経て6合目まで600m、勘助道を経て6合目まで12km。それでも勘助道を降ればガレ場続きに泣く。

帰りのタクシーの出発時間にはまだ余裕がある。無人の山荘を覗いてみると、12階は使用禁止、水道・トイレは使用可」 また、クマに出くわしたら「子グマを見かけても、そばに母グマがいると考え、決して近寄るな。出会ったら、あわてずゆっくり後ろに下がり、静かにその場を立ち去る。クマの足跡やフンなどを見つけたら、その先に進まずに引き返す。生ゴミや残飯、食べ物の容器は山や野外に捨てるな。クマが人の食べ物に慣れて、その場所に引き寄せられる原因になる」とさ。


快晴 角館に前泊 単独行 歩行距離=102km 歩行時間=4時間50分

秋田内陸縦貫鉄道、阿仁前田駅720⇒(森吉山周遊タクシー)⇒745こめつが山荘
こめつが山荘750855一ノ腰910920雲嶺峠→935森吉避難小屋940950石森→1000阿仁避難小屋10051030稚児平→1040森吉山11001130阿仁避難小屋→1140石森11451150森吉避難小屋11551210雲嶺峠→13056合目→1335こめつが山荘
こめつが山荘1420⇒(森吉山周遊タクシー)⇒1440阿仁前田駅