裏岩手連峰うらいわてれんぽう

248 2014/6/21(土)  1,578m → 諸桧岳 1,516m → 前諸桧 1,481m → 嶮岨森 1,448




畚(もっこ)岳  諸桧(もろび)岳  嶮岨(けんそ)森


八幡平から南へ、岩手県と秋田県との県境尾根が続く。畚岳から始まり秋田駒ガ岳まで。この長大な尾根を裏岩手連峰縦走路と呼ぶ。稜線にはオオシラビソの樹林、お花畑、笹原の台地、沼沢が散在し、勿論好展望が得られる。今日はこのうち畚岳から大深岳の中腹まで歩く。前泊は見返峠から樹海ラインを2km下った標高1,400mに建つ藤七温泉、彩雲荘。天然掛け流しの単純硫黄泉。露天風呂からの景観が見事だが、旅館と言うよりはむしろ山小屋のような宿であった。

見返峠に向かって樹海ラインを1km上ったところが畚岳登山口。気持ちいい朝、ズボンの裾を朝露に濡らして残雪の縦走路を歩き出す。鳴き声を競い合う鶯。畚岳がもっこりと、遥か先に岩手山がくっきりと見える。畚とは竹や縄などを網状に編み、四隅に吊り紐をつけて物を運ぶ用具のこと。棒杭の標示に従い、縦走路を外れて畚岳山頂へは10分ほど上る。降りてきた花巻在の若者としばしの立ち話。ケルンが積まれた山頂広場。宿で作ってもらった朝飯がわりのおにぎりを頬張る。

畚岳山頂 諸桧岳へ上るオオシラビソの樹林


源太森、茶臼岳と共に、畚岳は八幡平三大眺望地のひとつに数えられる。八幡平は言うに及ばず、焼岳、乳頭山、秋田駒ガ岳、森吉山。稜線を緩やかに下って諸桧岳に向かう。残雪地帯を通過して鞍部の樹林帯に入る。立ち枯れや曲がったオオシラビソ。木道は小さな沼に続く。水中から伸びる枯木群。お花畑こそないが路傍に咲く花が楽しませてくれる。鮮やかなショウジョウバカマ、イワカガミ。黄色いミヤマキンポウゲ。大輪のシラネアオイ、キヌガサソウ。白いサンカヨウ。

深い森を緩やかに上る。残雪、ぬかるみ、ガレ場。残雪は踏み抜いたら危ないし、進む方向が分からなくなる。あの花巻の人が残した泥靴の跡を忠実に辿る。樹林が途切れて平坦なササ原になるともう諸桧岳山頂の一角。コメツガに囲まれた山頂を直角に曲がる。ハイマツ台地からこの先の縦走路を一望する。前諸桧、嶮岨森、大深岳、源太ガ岳。またシラビソ林を下る。残雪と洗くつされたガレ場。鞍部にひっそりと石沼。小振りのミズバショウ、ツバメオモト。腰を下してひと休み。

標識がなければ気付かずに通り過ぎてしまいそうな前諸桧山頂を越える。嶮岨森との鞍部までいっきに120m下る。前方の嶮岨森も、振り返る前諸桧もその山肌が見事だ。新緑のダケカンバに点在する濃緑のオオシラビソ。樹林の中にめがねのような湖沼が見える。ダケカンバの樹林に入る。シラネアオイが咲きハクサンチドリの群生地がある。火口壁の縁に聳える嶮岨森に登る。好展望の山頂。雲が覆い始めた岩手山。見下ろせば樹林の中に鏡沼、樹林を切り裂く樹海ライン。

石沼 嶮岨森へ向かう、右奥は源太ガ岳、左奥は大深岳


遥か大深岳の山腹に見える四角く光る屋根を目指す。小さな沼の畔を上り返して樹林の中の大深山荘に着く。疲れた。山荘前のベンチにへたりこむ。裏岩手連峰縦走路はここまで。下山路は源太ガ岳をショートカットしよう。暗いオオシラビソの樹林を抜けると視界が開ける。笹の斜面に敷かれた木道を下る。勢いよく迸る水場がある。喉を潤せば生き返ったような心地。その先で木道は尽きる。困った、どう進むのか分からない。幸い、夫婦連れが上方からやってきて大助かり。

源太ガ岳は雪が深くて登れなかったとのこと。よかった、大深岳へ上っていれば、源太ガ岳の下りで窮していたことだろう。残雪の大斜面をトラバースしてダケカンバの樹林に入る。エゾハルゼミの大合唱。源太ガ岳分岐からは標高差500mの辛い下りが始まる。ガレ場、赤土、水溜り。丸森川を渡れば難路は終わる。ブナ林に白い湯気が立ち昇る地熱発電所を通過。辿り着いた松川温泉、峡雲荘の前庭がバス停。定刻になっても居眠りしている運転手、叩き起して車中の人となる。


晴れ 藤七温泉に前泊 単独行 歩行距離=141km 歩行時間=6時間55

藤七温泉620655畚岳715820諸桧岳825915前諸桧9251010嶮岨森10151055大深山荘11151315丸森川13201410松川温泉
松川温泉1445⇒(岩手県北バス)⇒1629盛岡駅