大岳山4 おおたけさん) 

240 2013/11/12(火) 大岳山 1,267m ← 鋸山 1,267m




紅葉の便りを追いかけるように降雪の報。最寄りの駅に着くと改札口前には大勢の人が屯している。人身事故で横須賀線が大幅に遅延している。これでは石和温泉駅前発、芦川村行きのバスに間に合わない。予定した御坂山塊の春日山を諦めるほかはない。特急券を変更して山行は明日にしようか。いや、前売りの特急券を無駄にしても今日は山に登りたい。乗車券を生かして中央線の山に登ろう。たかが奥多摩という勿れ、登り終えれば思いのほか楽しい山登りであった。

地図も持たずバス時刻も調べずに山に登るなら、過去に登った山に限られる。立川駅に着くと折しも青梅行きの快速電車が滑り込んできた。時間は無駄にしたくない。通勤客で混みあった電車に飛び乗る。奥多摩駅前のバス時刻を確かめると、何れも1時間後に発車する。<駅から登山>で大岳山に登ろう。奥多摩の山に最後に登ったのは2年前の棒ノ折山だった。大岳山はこれで4回目、初めての大岳山は11年前、愛宕山へ降りてきた。今日はその逆コースを登ることになる。

726米峰の天聖神社
右は大天狗と小天狗が彫られた石塔
鋸尾根の黄葉、背後は三頭山


青梅街道を歩いて多摩川を渡る。川面から立ち昇る冷気でぴりりと身がひきしまる。愛宕山公園案内図がある。ここが大岳山への登り口。あとは道標どおりに愛宕山、鋸山から大岳山へ進めばいい。海沢への分岐を通過すると杉林の中に急峻な階段が現れる。愛宕神社へ上る180段余りの石段。<清澄な神社に参る覚悟のない者は来るべからず>という石段をいっきに上れば、<火の神>を祀る愛宕神社の五重塔が聳えている。ここが愛宕山。参道を下ると鞍部の登計峠に着く。

迷わずに歩くだけなら奥多摩には山地図はいらない。要所要所に立つ道標どおりに歩けばいい。樹相は杉林から雑木林へ、ミズナラ林へと変わる。振り向けば梢の上から本仁田山が迫ってくるようだ。山道をじぐざぐに上ると岩尾根に変わる。鉄梯子をひと上りすると726米峰。そこには天聖神社がある。大天狗と小天狗が刻まれた石塔とコンクリートブロックで囲まれた祠が並んでいる。視界が開けて六ツ石山や御前山を展望する。また梯子を下り、梯子と鉄鎖で岩塊を越える。

鋸尾根。鎖場コースと一般コースとの分岐に出る。体力を温存して一般コースを上る。鬱蒼とした針葉樹林、紅葉を賞でながら歩く広葉樹林、アセビや大木の生える樹林へと植生が変わる。いくつものこぶを越える。三角点のあるコブは山頂と思いきや鋸山の三等三角点だという。大ダワへの分岐を過ぎ、急坂を上って鋸山の山頂に着く。杉林に囲まれた山頂は展望がなく、山頂標識とベンチが置かれている。静かな山。しばしの休憩後、急斜面を下って御前山への分岐を通過する。

大岳山山頂
惜しむらくはガスが出て眺望は得られない
大岳山山頂から見る三頭山はすぐそこ


鋸山から大岳山までは主脈縦走路の一部。気持のいい落葉樹林の尾根を行く。落葉が積もる錦繍のミズナラ、イヌブナ、カエデ。紅葉を引き立てる常緑樹のアセビ、コメツガ。大小のコブを越える。大岳山頂を巻く馬頭刈尾根への分岐に、木の幹に巻かれた警告文がある。<警告!日没時間が早くなっています。特に10月〜1月は17時前後に暗くなります。大岳山からの所要時間は、鋸尾根〜奥多摩コース、馬頭刈尾根コース共々約4時間。 奥多摩自然公園管理センター>

急な岩尾根を上るとなつかしの海沢探勝路の分岐。ほどなく大岳山頂。ここまでは十数人と擦れ違ったが、誰も居ない山頂。あの人慣れした小鳥も居ない。ひっそりと山頂標識と三角点。すぐそこに三頭山が見える。遠方はガスって、丹沢は勿論のこと、高尾の山々すら朧に見えるのみ。小憩後、下山する。御岳山ケーブルカー駅も白倉バス停も約2時間で降ることができる。岩稜を注意深く下って大岳神社。馬頭刈尾根の降下点からは杉林。緩やかな山道を下って白倉へ急ぐ。


晴れ 日帰り 単独行 歩行距離=107km 歩行時間=6時間30

JR青梅線、奥多摩駅910940愛宕山→1215鋸山12251350大岳山14051420大岳神社→1450白倉降下点14551610白倉バス停
白倉1705⇒(西東京バス「)⇒1733JR五日市線、武蔵五日市駅