尼ガ禿山 あまがはげやま

224 2012/10/13(土) 尼ガ禿山 1,466m → 迦葉山 1,322m




玉原(たんばら)高原 鹿俣(かのまた)山 迦葉山(かしょうざん) 武尊(ほたか)山 皇海(すかい)山 胎内潜岩(たいないくぐりいわ)


市街地に熊が出没して住民を襲ったという度重なる報道を聞く。ところで、尼ガ禿山一帯はクマの生息地だそうな。それなら、みんなで登れば恐くない、とツアーで尼ガ禿山に登る。尼ガ禿山は沼田市街から北方約16km、武尊山系の山。玉原高原に発電用のダム湖として玉原湖が造営されると、観光開発に伴って鹿俣山と尼ガ禿山に登山道が設けられたのだという。古より天狗の霊峰として知られる弥勒寺は迦葉山の中腹に在る。秋風が吹く日、尼ガ禿山から迦葉山へ縦走する。


関越道の渋滞に巻き込まれて、やっと着いたぜ玉原高原。閑散としたセンターハウス前。ひんやりとした冷気が肌を射す。歩き始めると勢いよく迸る水場がある。右にブナ平分岐と玉原湿原分岐をやり過ごし、左にさざ波の立つ玉原湖の畔を道なりに進む。湖畔にちらほらと紅葉の始まり。ふたつ目の車止めゲートの先に道標がある。尼ガ禿山への登り口。ブナの原生林に突入する。刈払いされていないのか、行く手を阻むササ。手で払い除けながら落葉の積もった山道を上る。

玉原湖 左奥は武尊山と剣ガ峰山、中腹あたりに鹿俣山 右奥に皇海山と庚申山


玉原高原のブナの森は関東でも有数の広がりだという。ブナの樹林は保水力に優れ、伐採するとすぐに乾燥地になるそうな。この季節には、地を這う虫も飛び交う虫もいない。鳥の鳴き声すら聞こえない。聞こえるのは、ただ強風とせめぎあう枝葉のざわめきのみ。展望がなくとも気持ちいいブナ林、足にやさしい落葉の道。最近、ガレ場や露岩に悩まされてきたので余計に嬉しい。送電線の大鉄塔下を通過。緩やかな山道を上れば大きな風景が広がる。汗もかかずに尼ガ禿山。


センターハウスの標高は1,200m、尼ガ禿山は1,466m。だから標高差は僅か266mに過ぎない楽勝の上り。昼飯休憩。眼下の玉原湖がすぐに目に留まる。このダム湖は夜間電力を利用して揚水する上池とし、下池に藤原ダムを設け、自然保護を最優先させて地下に玉原発電所を建設したそうな。ダム周辺にはアウトドア施設やラベンダーパークなどが整備され、自然豊かな高原リゾートというものの、このご時世、景気や如何。それにしても尼ガ禿山とはよくぞ名付けたものよ。


尼ガ禿山の山頂は東側が開けて、群馬の日本100名山が同定できる。鹿俣山の後ろに大きな武尊山の山塊が聳える。剣ガ峰山、沖ノ武尊、前武尊。遠く皇海山、庚申山、袈娑丸山。大きな山体は赤城山。黒桧山、地蔵岳。指呼の間に迦葉山。さて、迦葉山への縦走は上ってきた山道を一旦戻り、道標に従い南へ向かう。いくつものアップダウンを緩やかに越える。キノコが密生した枯木がある。変わらぬものは、深いブナの森、煩わしい林床のササ、落葉の細道、風に騒ぐ枝葉。

好展望の尼ガ禿山の山頂 弥勒寺に安置されている巨大な大天狗の面


最低鞍部は秋山平。白樺湿原を通り過ぎる筈だが湿原の痕跡もない。前方に迦葉山を見上げる。標高差160mの上り。この山も急登することもなく登頂。狭い山頂から南側が開けて展望が得られる。上州三峰山、その後方に子持山、小野子山。さあ、下山。緩やかに下ること数分、御嶽山大神の石碑が建っている。いいことはいつまでも続かない。足にやさしい、落葉の緩やかな山道はここまで。待ち受ける露岩とガレ場の急斜面を降る。下方に佇立する岩峰が見える。和尚台。


先ずふたつの大岩の間を摺り抜け、次は胎内潜岩という岩の割れ目を下降する。岩峰の基部から振り返ると岩峰の中程に建屋がある。迦葉山奥の院。林相は広葉樹林から針葉樹林へと変わる。沼田の銘木百選のフジキという目通周囲3.69m、樹高20mの巨樹がある。下方に弥勒寺の屋根が見えるとさすがに嬉しい。徳川初代将軍の祈願所、迦葉山弥勒寺。中峰堂には日本一という大天狗面が睨みをきかす。夕闇せまる寺の大階段を下れば帰りのツアーバスが待っている。


晴れのち曇り 日帰り 毎日旅行会、山岳ツアー 歩行距離=77km 歩行時間=3時間30

新宿駅西口730⇒(まいたび、ツアーバス)⇒1055玉原湿原入口
センターハウス11051120尼ガ禿山登山口→(小憩2回、15分)→1215尼ガ禿山12401255迦葉山分岐→(小憩2回、20分)→1450迦葉山15001520和尚台1530→(小憩、10分)→1555弥勒寺
弥勒寺1630⇒(まいたび、ツアーバス)⇒17:00川場温泉に立ち寄り18:00⇒2010新宿駅西口