東吾妻山ひがしあづまやま

220 2012/6/24(日) 東吾妻山 1,974m 日本100名山




台風4号に熱帯性低気圧が追い討ちをかけたのが2日前。折からの梅雨前線と相まって各地に被害をもたらした。雨の山歩きは嫌なものだ。思い起こせば夏でも冷たい雨に濡れそぼり、足元だけを見続けて彷徨い歩いた山の旅。山頂直下まで辿り着いたものの、無念の登頂を断念した東北の山がある。東吾妻の一切経山と八甲田大岳。梅雨の晴れ間に、リベンジの山行に重い腰を上げる。なんと当日に心変わり。初日は一切経山をやめて東吾妻山へ登る。降らねばいいが。


温泉地を寄り道しながら路線バスは吾妻スカイラインを上る。双竜の辻に差しかかる。安達太良山も磐梯山も雲海の中からその姿を見せない。雨が降ることはなかろうが陽は差すまい。浄土平の二つ手前、鳥子平でバスを降りる。バス停脇が登り口。立派な吾妻山地案内図や道標がある。一日に2便しかない次のバスまでの間、4時間以内に下山しないと山に取り残される。上り始めは丸木で土留めした階段。すぐに岩ゴロやぬかるみの急登に難渋する。こりゃ、ワイルドだぜぇ。

景場平から望むたおやかな山容の東吾妻山 景場平湿原に設えられた休憩デッキ


樹相は自然林からオオシラビソ、コメツガ、林床はチシマザサに変わる。傾斜は緩んでハイマツ帯の木道歩きとなる。樹林を抜ければ湿原の世界が広がる。景場平。木道は池塘や茂みを縫って続く。前方に東吾妻山、浅底の鍋を伏せたような山容。振り向けば高山、2基の電波反射板が立つ山。大池の前の休憩デッキには3人のハイカーが休んでいる。花は期待に反して、ちらほらとチングルマ、イワカガミ。コメツガの群落を通過。また樹林、岩ゴロとぬかるみに悩まされて上る。


小湿原がつぎつぎと現れる。オオシラビソの樹林が湿原と湿原をつなぐ。山頂直下にはやや平坦な湿原が広がる。どうせ何も見えないだろうと展望台分岐をやり過ごす。山頂への最後の上りは矮小化したオオシラビソの林。立ち枯れのオオシラビソが混じる樹林。勾配が緩んでハイマツ帯を通り抜けると東吾妻山。展望のよさで知られるこの山も、南方向は立ち込める生憎のガス。磐梯山や安達太良山は見えないものの、僅かに山麓の秋元湖、小野川湖、桧原湖が見えるのみ。

東吾妻山の山頂、秋元湖と桧原湖が見える 姥ガ平湿原、鎌沼の右奥は一切経山


標高2,000mを越える西吾妻山には及ぶべくもないが、東吾妻山は東吾妻では最も高い山。東吾妻の山は、山頂にお鉢を戴く吾妻小富士や、今なお噴煙を上げる一切経山のように荒々しい噴火の跡を残すが、東吾妻山はたおやかな山容の山。北側には累々と峰を連ねる吾妻連峰の縦走路が続く。鎌沼の向こうに一切経山、家形山、烏帽子山、昭元山、東大巓、西吾妻山が望める。裸地の山頂には道標を兼ねた山頂標識、三等三角点、ケルンがある。風が強くなってきた。


上るよりも悩ましい下りが始まる。最初は赤い砂地を降る。眼下には谷地平湿原を見る。ハイマツ帯から降ってオオシラビソとコメツガの林へ。えぐれた赤土の斜面、赤い岩ゴロ、ぬかるみ、水溜り。ダケカンバの群落を過ぎると樹林は開けて一面の湿原、姥ガ原。十字路を右折して浄土平へ。大勢のハイカーに混じって湿原のそぞろ歩きを楽しむ。イワカガミ、ショウジョウバカマ、おやっ、チングルマの群生地。木道の終りは姥ガ原湿原の終り。ガスが立ち込める浄土平へ降りて行く。


曇り 日帰り 単独行 歩行距離=65km 歩行時間=3時間20

福島駅東口950⇒(福島交通バス)⇒1123鳥子平
鳥子平11251150景場平→1250(休憩)13051315東吾妻山13201400姥ガ原→1500浄土平
浄土平1540⇒(福島交通バス)⇒1650福島駅西口