小川山 おがわやま)  

219 2012/5/29(火) 小川山 2,418m





廻目平(まわりめだいら) 瑞牆山(みずがきやま) 金峰山(きんぷさん、きんぽうさん)


バスツアーで奥秩父の小川山に登る。ツアー登山はどんなにアクセスが悪い山でも登り口へ連れて行ってくれるし、居眠りしている間に送り迎えしてくれる。だが、結構な話ばかりではないのが世の慣い。雨が降ろうが催行を取り消すことなく強行する。天気予報は晴れのち雨。降らなければいいが。小川山は鬱蒼とした原生林に覆われた山。それが地味な山と云われる所以だが、目と鼻の先にある瑞牆山や金峰山に比べての話。寂峰なればこそ破壊されない自然が残っている。


東股沢と西股沢との分岐点が廻目平。西股沢を遡ると金峰山荘が見えてくる。県境の金峰山は山梨県では「きんぷさん」、長野県では「きんぽうさん」と呼ぶ。廻目平は長野県川上村にあるから金峰山荘は勿論「きんぽうさんそう」と呼ばれる。シラカバ林には金峰山荘のほかトイレ棟や休憩舎が点在する。見上げればあの瑞牆山まがいの岩壁がそそり立つ。この辺りはロッククライミングのメッカだという。沢の畔にはキャンプ場がある。色とりどりのテントは彼らのベースらしい。

露岩帯を越える シラビソ林、林床はシャクナゲと苔


上り始めは快晴、強い日差し。女性リーダーを先頭にして総勢16名のツアーは出発する。3名の男性共は最後尾、しんがりは若い男の子。林道を進めば小川山とカモシカ遊歩道を指す道標がある。小川山の登り口。川上村の看板がある。「登山道は上級者向けコース、遭難や事故については一切責任を負いません」 シラカバ林が途切れると、新緑が目に沁みる自然林。山腹をジグザクに急登する。一同、黙して上ればリーダーが「お話しながら上りましょうよ」と声を掛ける。


展望のない山道。巨岩の脇を通過。咲き始めたミツバツツジ。岩場の上に立つと展望がいっきに開ける。佇立する岩塔。見上げれば山頂に大岩を重ねたオベリスクのある山がある。あれは金峰山。樹相は高木のシラビソやシャクナゲの密生が多くなる。シラビソの幹に小さなコブがある。「滲みだした液は虫除けになる」とリーダー。嗅げば針葉樹の香りがする。「山の匂い」と誰かが呟く。花が開いたシャクナゲが散見するが、全山シャクナゲ色に染まるのは、あと12週間後らしい。


僕の後ろを歩く人は「あと3座登れば日本100名山を100座達成する」と言う。知らぬ間にその人は姿を消す。「皆さん速すぎて追いつけない。おまけに間違った踏み跡に入ってしまった」と言う。どうも岩登り用のトレイルに踏み込んだらしい。登路は樹林ならばリボンマーカーを、露岩ならば岩に描かれた赤い丸印を頼りにするほかはない。4個所のアルミ梯子を上り下りする。岩の間を摺り抜け、岩のコブを越え、岩を伝い降りる。上り返すと帰路に使うカモシカ遊歩道分岐に出る。

小川山山頂 山梨100名山の標識、二等三角点 唐沢ノ滝 落差40m


背よりも高いシャクナゲのトンネルを潜り抜け、樹林を急登する。好展望の露岩に立てば岩塔の向こうに甲武信ヶ岳が見える。行く手には岩峰の先に大きく裾野を広げた小川山が姿を現す。小川神社の石祠がある大岩前を通過。シラビソの深い樹林に入る。林床は青苔、そこに低木のシャクナゲ。丁度1200、鞍部で昼食休憩。食後は、展望のないシラビソ林をひたすら急登する。勾配が緩むと金峰山方面へ通じる八丁平分岐。ほどなく小川山の山頂に着く。おや、ぽつりと雨が。


シャクナゲに囲まれた山頂には、僅かばかりの広場がある。そこに二等三角点と山梨100名山の標識。展望はないが奥の露岩から金峰山や瑞牆山を眺めることができる。帰路はカモシカ遊歩道分岐まで往路を戻る。下り初めは楽勝でも、上りが辛けりゃ下りも辛い。突然、滑って尻を打つ。痛てぇ。シャクナゲの落葉に隠された木の根で滑ったのだ。遊歩道分岐から泣きの急坂を降る。静寂を破る落差40mの唐沢ノ滝。幸い雨にも降られず、往きも帰りも渋滞に遭わず新宿へ。


晴れのち曇り 日帰り 毎日新聞旅行会、山岳ツアー 歩行距離=8.5km 歩行時間=5時間

新宿駅西口705⇒(まいたび、ツアーバス)⇒1010廻目平

廻目平10251030登り口→1055(小憩)11001125カモシカ遊歩道分岐11301200(昼食)12251305(小憩)13101345小川山14001440(小憩)14451510小川神社の石祠15151540カモシカ遊歩道分岐→1555唐沢ノ滝16001630(小憩)16351650廻目平
廻目平1705⇒(まいたび、ツアーバス)⇒2020新宿駅西口