夕日岳 ゆうひだけ  

218 2012/5/13(日) 薬師岳 1,420m → 夕日岳 1,526 → 地蔵岳 1,483m




天候異変が続く。竜巻、強風、豪雨、降雹。まさに青天の霹靂。それでも、いつもどおりに季節は巡り春が訪れる。樹林にアカヤシオが、林床にカタクリが咲く。中禅寺湖の南岸から南へ派生する稜線がある。その稜線を辿る尾根道を禅頂行者ノ道という。日光は信仰の山、修行の尾根道なのだそうだ。さて、荒天は去り一日だけの登山日和。禅頂行者ノ道を縦走する。細尾峠から上り、薬師岳を越え、夕日岳を経て地蔵岳、ハガタテ峠へ。最終便のバスに乗り遅れなければいいが。


足尾行きの日光市営バスに乗る。少々草臥れたバスは国道122号をひた走り、日足トンネルを抜けて栃木平で降車する。国道を少し戻って、「長い長い峠道」を指す道標に従い旧道を進む。かつて足尾銅山で採掘された銅を積んだ荷馬車が越えた峠道。日足トンネルが開通したために峠道は旧道に変わる。神子内川の激しい水音、目に沁みる新緑。マイカーが停まって「乗りませんか」と声を掛けてくれる。たった5分の乗車でも有難い、舗装道路歩きに飽きていたんだもん。

薬師岳、後方の左から大真名子山と女峰山 縦走路を彩るアカヤシオ


細尾峠。既にずらりと路上駐車しているイカーの列。「前日光高原」への道標に従い、まだ芽吹きの自然林を緩やかに上る。山道は分岐する。枝尾根を上る道は避けて、深いクマザサを分ける巻き道を選ぶ。さしたる苦労もせずに主尾根へ飛び出す。薬師岳ノ肩。数分で薬師岳山頂に着く。栃木100名山と記された山頂標識、三角点、石祠がある。日曜日の山上は賑わう。薄桃色に咲くアカヤシオが彩りを添え、右往左往して写真を撮りあう町内会組、ファミリーハイカー、山ガール。


好展望の山頂の北側は切り開かれ、表日光連山の女峰山や大真名子山を従えた端正な男体山に圧倒される。西には樹間から足尾の名山、袈裟丸山に皇海山。東は禅頂行者ノ道、眼下に大木戸山、三ノ宿山、その先に日光市街が望める。一旦、薬師岳ノ肩へ戻って一路縦走路を辿る。路傍に石祠、傍らに不動明王像のある掛合宿を通過。芽吹きを今かと待つミズナラ、ミョウブの林、花咲くアカヤシオ。前方に夕日岳、右に足尾の山群を樹林越しに見ながら大小のコブを越える。

夕日岳、後方の左から奥白根山、男体山 地蔵岳、ここもハイカーで大賑わい


笈吊シという急坂を上ると三ツ目。夕日岳は主稜線を少々外れたところに聳える。一度下って上り返すと大岩が行く手を遮る。中岩。その脇を摺り抜けて夕日岳。見晴しの山頂はここもハイカーで満杯。表日光連山の左に残雪の奥白根が白く輝く。夕日岳で夕日を浴びる破目になったら堪らねえと時間をチェックする。何と予定よりも1時間も早い。主尾根の三ツ目まで戻り、南へミズナラの道を緩やかに下る。上り返して地蔵岳。樹林に囲まれた山頂に、傾いた石祠に納まる石仏。


アカヤシオは今が見ごろ、下旬にはミツバツツジやシロヤシオが花開く。もう下山のとき。この地蔵岳で日光連山もアカヤシオも見納め、また雲上の散歩道も終わる。カラマツ林を急降下する。本当にこれが縦走路かと疑いながらクマザサをへつる細い道を速足で下る。砂地の斜面をロープに縋り、ハガタテ平に降ってひと安心。源頭から地獄沢に沿って下る。杉林にニリンソウやバイケイソウの群生地。山道は古峰原林道に変わる。急げば予定より1台前のバスに間に合うかも。


晴れ 日帰り 単独行 歩行距離=14.5km 歩行時間=5時間15

JR日光駅935⇒(日光市営バス)⇒1000栃木平
栃木平バス停10051045マイカーに乗車→10:50細尾峠1135薬師岳11401315夕日岳13251355地蔵岳14001420ハガタテ平→15:05林道→1545古峰原神社バス停
古峰原神社1545⇒(関東自動車)⇒1632東武日光線、新鹿沼駅