黒川鶏冠山くろかわけいかんざん

211 2011/11/26(土) 鶏冠山 1,716m → 黒川山 1,710




大菩薩連嶺の北端に位置する黒川鶏冠山は、本来山全体が黒川山なのだそうだが、今では三角点峰を黒川山、岩峰を鶏冠山と区別し、合わせて黒川鶏冠山と呼ばれている。人気の登路は柳沢峠からの往復コース。標高差の少ない遊歩道のような山道を歩くという。これでは食い足りない。下山を丸川峠へ足を伸ばすと、裂石に辿り着く頃には日が暮れてしまう。そこで北麓の落合から静かな自然林を上ることにする。更に柳沢峠へ下山すればドライブインでバス待ちができる。


よく晴れて、とてつもなく寒い朝。今日が今年の最終便となる路線バスは、大菩薩ラインを上りつめて柳沢峠、峠を越えて落合へ。さて登り口がどこだか分からない。一緒にバスを降りた女性二人組は、坂上と坂下へと手分けして探しに行く。僕はじっと地図を睨んで坂上へ歩きだす。あった、国道から落合集落への入口。柳沢川を渡り廃校の小中学校脇を通り過ぎる。最後の民家で舗装道路は終り、その先には霜が降りて真っ白な山道が続く。初めての道標がある。鶏冠山登山口。

苔蒸す露岩の道、鶏冠山は近い 鶏冠山山頂の鶏冠神社


苔道を小沢に沿って暗い杉林を抜ける。三つ目の梯子橋を渡るとモミの林。葉を落としたナラの林をじぐざぐに上って高度を稼ぐ。静かな山、聞こえるは落葉を踏む音、霜柱を崩す音、遠くの沢音。ハンノキ尾根の山腹をからんで上ると道標がある。右は横手峠だが直進して鶏冠山近道へ進む。針葉樹林の中、いくつもの沢の源頭を回り込む。厚く積もった落葉の道は苔蒸した石畳に変わる。今日歩くコースで一番気持ちいい露岩の道。やっと主尾根に上る。そこは鶏冠山分岐。


モミの大木の後ろに高さ3mほどの岩塊がある。うんざりしても登るほかはない。これぞ鶏冠山かと前方を見るともうひとつの岩峰があり、樹木の間に社が見える。ふと下を見ると、なんだ、巻き道があるではないか。鶏冠山はすっぽりと切れ落ちた絶壁の岩峰。鶏冠神社が山頂に鎮座する。山梨100名山の山頂標識がある。好展望の岩峰。まず目に飛び込む大菩薩嶺、丸川峠の上あたりに富士山が見える。飛竜山、唐松尾山などの奥秩父の山。あれは三頭山、奥多摩の山。

黒川山の山頂 大菩薩嶺、霞んで見える富士山


立木に掴まり木の根に足場を確保して巻き道を分岐まで戻る。枝尾根を乗り越えると黒川山三角点分岐。小高い丘を上れば山道の途中に私製の山頂標識がある。傍らに三等三角点。山頂らしくもない黒川山。カラマツ林をさらに西へ進めば黒川山の見晴台に立つ。大菩薩嶺や霞んだ富士山は言うに及ばず、鶏冠山で展望できなかった壁のような冠雪の南アルプスや、奥秩父の山々がパノラマのように広がる。西から東へ乾徳山、北奥千丈岳から和名倉山、飛竜山などの山々。


柳沢峠へ下山する。歩けど変わらないものは、あまり高低差のない幅広の道、針葉樹林帯、カラマツの落葉、樹間から覗く大菩薩嶺、東京都水道局製の公告板や道標。この山は山梨県にあっても都水道局が管理する水道水涵養林の山。横手峠は黒川金山跡へ分岐する。戦国時代に武田氏により栄え、徳川時代に廃坑になったという。丸川峠へ分岐する六本木峠を通過。退屈な山道歩きでも些か疲れてきた。もうゆっくり歩こう。自動車の排気音が聞こえる。もうすぐ柳沢峠だ。


快晴 日帰り 単独行 歩行距離=8.5km 歩行時間=3時間50分

JR中央線、塩山駅9:25⇒(山梨貸切自動車バス)⇒10:25落合
落合10351130横手峠分岐→1220鶏冠山12301245黒川山三角点→1250見晴台12551320横手峠→1330林道を横切る→1400六本木峠→1420(休憩)14251445柳沢峠
柳沢峠15:40⇒(山梨貸切自動車バス)⇒16:30JR中央線、塩山駅