高原山たかはらやま)  

206 2011/10 /4(火) 釈迦ガ岳 1,795m 日本300名山 → 鶏頂山 1,765




秋は足早にやってくる。秋風が吹く間もあらばこそ、もう北の山から降雪の便り。あの暑さをいや増す蝉の声は今や懐かしい。秋のはじめに高原山に登る。那須連峰の南西、塩原の地に、釈迦ガ岳を主峰として鶏頂山、明神岳、西平岳、剣ガ峰等を擁した山群がある。総称して高原山という。公共交通機関によるアクセスはない。そこでまいたびの山岳ツアーに参加した次第。ツアーバスは居眠りしている間に、僅か3時間余りで都心から鶏頂山の登山口まで連れて行ってくれる。


よく晴れた朝、総勢28名を乗せた満席のツアーバスは日塩もみじラインをひた走り、鶏頂山西登山口に到着する。日塩もみじラインとは鬼怒川温泉と塩原温泉を結ぶ27.5Kmの山岳道路。鶏頂山神社の扁額を掲げた丹塗りの鳥居が登山口。添乗員の一声、「日没前に下山しましょう」 狛犬に見送られて、カラマツ林の中、背丈ほど延びたクマザサを払いながら進む。登山道にしては藪が濃すぎるなと思ったら、先頭の添乗員リーダーが「道を間違えたようです。戻りましょう」だって。

釈迦ガ岳と鶏頂山を結ぶ稜線から見る鶏頂山 釈迦ガ岳山頂 一等三角点、祠、釈迦如来像がある


カラマツ林を抜けるとやや広めのススキの原に出る。スキー場のゲレンデ跡らしい。「利用客がひと昔に比べて激減、スキー場は廃業、リフト類は東南アジアに売却した」とは物知り顔のツアー客の話。この辺りで合流する筈の登山道、山荘コースも廃道になったとか。防火帯のようなゲレンデ跡をだらだらと上り、色褪せたメイプルヒルスキー場の看板のある草原に着く。かつてのゲレンデの最高地点、今は夏草茂る荒れ野原。ここでひと休み。遠く日光連山を眺めながら昼食を摂る。


鬱蒼とした樹林帯を抜けると弁天沼、ただの水溜り。沼の畔に石祠や石碑が並び、赤い吊鐘がある。傍らの碑文によると、鶏頂山は別称、金鶏山。なんと1,700年前、金の鶏に導かれて開山した霊山だという。山道は分岐する。左は釈迦ガ岳へ、右は鳥居を潜って鶏頂山へ。小憩後、梢の上に見える釈迦ガ岳を目指して自然林を急登する。道端の木の枝に掴まって身体を引き上げる急坂。登山道は掘割状にえぐれ、足元は浮石か、若しくは濡れた黒土に変る。転ぶまい、滑るまい。

鶏頂山山頂から見る釈迦ガ岳、中岳、西平岳(右から)


よく伸びたクマザサを掻き分けてダケカンバの美林を上る。やっと鶏頂山と釈迦ガ岳を結ぶ稜線に出る。尾根筋は左へ、釈迦ガ岳へ向かう。右手に鶏頂山が現れる。立ち枯れの樹木、深いクマザサ、色付き始めたドウダンツツジ。石祠のある小峰は御岳山。一旦上ったものの、また稜線を下る。上り返して釈迦ガ岳。山頂には小祠が祀られ、中央に一等三角点がある。笹に囲まれて大理石の釈迦如来像が座す。展望この上なし。日光連山、那須連峰、会津の山。近場に鶏頂山。


元気を奮い起こして鶏頂山へ向かう。稜線伝いに往路を戻り、明神岳分岐、弁天沼分岐を通過。南側は緑豊かな草木に隠されているが爆裂火口の崩壊壁だという。尾根道はロープの援けで上り、木の根に縋って下る。先頭のリーダーが叫ぶ、「最後の上り、あと15分です」 鶏頂山は信仰の山、山頂には猿田彦大神が祀られた鶏頂山神社が建つ。下山は稜線から弁天沼への近道をいっき下り。ガレ場と濡れた黒土の急坂に泣き、弁天沼でほっと一息。黙してカラマツの林を下る。


快晴 日帰り 毎日新聞旅行会、山岳ツアー 歩行距離=10km 歩行時間=5時間

東京駅丸の内710⇒(まいたび、ツアーバス)⇒1025鶏頂山西登山口
鶏頂山西登山口10:35→11:15(小憩)11:20→11:30ゲレンデ跡最上部、昼食11:50→12:10弁天沼12:15→12:35(小憩)12:40→13:25釈迦ガ岳13:40→14:50鶏頂山15:05→15:30弁天沼15:35→16:10(小憩)16:15→16:40鶏頂山西登山口
鶏頂山西登山口1650⇒(まいたび、ツアーバス)⇒2005東京駅丸の内