金峰山きんぷさん)   

204 2011/6/18(土) 朝日岳 2,579m → 金峰山 2,595 日本100名山




大弛峠(おおだるみとうげ)、 鉄山(くろがねやま)、 瑞牆山(みずがきやま)


梅雨の候、雨に搏たれて金峰山に登る。山頂の一角に五丈石という大岩を戴いた金峰山は、遠くからでも同定できる山として知られる。増富温泉を起点とするコースは一般的だが、些か手強く健脚向き。それに日帰り登山は無理。旅行社による大弛峠起点のツアー記事をウェブで知り、即申し込む。標高2,300mの大弛峠からなら楽ちんコース。気掛かりは天候。ツアー登山は晴雨に拘わらず催行される。それを嫌ってツアー登山なるものには今迄一回しか参加したことがない。


川上牧丘林道は大型車乗り入れ禁止。男性5名女性8名、計13名の参加者と添乗員2名が3台のタクシーに分乗して北へと駆け上がる。うんざりの1時間。雨が止んだ大弛峠には既に数十台のマイカーが路肩駐車している。公衆トイレがある。大弛小屋への看板がある。この峠の東側は北奥千丈岳と国師ガ岳への登山口、西側が金峰山への登山口。さて、準備体操を終えればいよいよ出発。ザックカバーを付け、スパッツを履いて西へ、山梨県と長野県との県境尾根を往く。

朝日岳の東の肩から振り返ると霧に薄れて
北奥千丈岳と国師ガ岳
朝日峠を越えて立枯れの樹林から
目指す金峰山が見えてくる


歩き始めはシラビソの森。崩れかけた丸太の階段を一列になって上る。横たわる倒木、木の皮が剥がれた幹。いくつかの小ピークを越えると朝日峠。そこはケルンが積まれた小広場。枯れたダケカンバの大木がある。峠とは名ばかりで、峠を越える道は跡かたもない。昼食後、また黙して原生林を歩む。立枯れのシラビソ林を通過。樹林が途切れて露岩の展望地に出る。泣きそうな空、ゆっくりと流れる雲。浅間山も富士山も見えず、ただ奥秩父の最高点北奥千丈岳が見えるのみ。


朝日岳。環境庁による古びた山頂標識に標高2,581m。あれ、2,579mじゃなかったの。山頂からはまた積み重なった露岩を下る。ご安全に。行く手には鉄山と大きく裾野を広げた金峰山が姿を現す。立枯れの美林から鬱蒼とした樹林に入る。案じていた雨が降ってきた。ベンチのある広場で雨具を着用する。色とりどりのレインウェアに変身すると途端に若やぐご一行さま。鉄山は北側を巻く。なぜか木の枝で塞がれ鉄山の入口。雨に濡れて生き生きとしている緑の葉、緑のコケ。

賽ノ河原から眺める瑞牆山 金峰山山頂と五丈石


これまで稜線歩きとは感じさせない上り下り。シャクナゲ茂る石畳のような山道を上ると森林限界を越える。ケルンの積まれた賽ノ河原。見渡す限りのハイマツと露岩。可憐な風情のキバナシャクナゲ、白い花が風にそよと揺れている。岩塔が聳える奇怪な瑞牆山、雲間に隠れる小川山。ガレ場は金峰山山頂へ導いてくれる。賽ノ河原で直角に左折するが、歩きを規制するロープに従えばいい。山頂の手前から累々と重なる岩塊の上を歩く。大岩のトンネルを潜れば金峰山の山頂。


金峰山2,599mの山頂標識があるが、最高点は東端の重なった大岩の上。足元に気を付けて西端の五丈石前の広場にそろりと移動する。1丈は10尺、約3m。だから五丈石の高さは15mほどになるが、実際にはもう少し高そうだ。添乗員が「たとい五丈石を上っても下りられない」と言う。まさに然り。金峰山は北奥千丈岳に次ぐ奥秩父の高峰だが、雨と霧で視界はままならず。帰路は往路を戻る。往きはよいよい帰りは辛い。ぬかるみと露岩の段差に悩まされて一路大弛峠へ。


曇りのち雨 日帰り 毎日新聞旅行ツアー 歩行距離=8km 歩行時間=4時間

JR塩山駅1000⇒(タクシー)⇒11:00大弛峠
大弛峠11:1511:50朝日峠122012:50朝日岳12:5513:10雨具を着る13:201330鉄山を巻く→1400金峰山14251530朝日岳15401605朝日峠16101640大弛峠
大弛峠16:50⇒(タクシー)⇒17:50JR塩山駅