鍋割山8なべわりやま     

200 2011/3/4(金) 鍋割山 1,273m ← 栗ノ木洞 908




寄(やどりき)  三廻(みくるべ)林道  檪山(くぬぎやま)  後沢(うしろざわ)乗越(のっこし)


今どきの丹沢といえば、熊は冬眠しないし、東丹沢だけに棲息した蛭も丹沢全域に広がり、鹿による食害と登山客のオーバーユースにより山は荒れ崩壊が進む。また低山とはいえ遭難事故も絶えない。そこで行政は一般登山道に限り土留の丸木階段と道標を次々に増やしてきたものの、上り下りに歩き難いことは甚だしい。とは云っても一般登山道を離れて山深く分け入ると、思いもよらぬ自然に浸ることができる。今日も前回、前々回に引き続きバリエーションルートを登る。


春一番が吹き荒れたのは先月末、その翌日からまた真冬に逆戻り。宇津茂集落では零下3度、塔ノ岳は零下11度だという。とてつもなく寒い朝、寄バス停から栗ノ木洞の西尾根へ向かう。重ね着したマウンテンパーカーを脱いでもフリースは手放せない。栗ノ木洞西尾根の取り付き点と云えば、丹沢の達人共は様々な地点から上り始めている。後沢の右俣から、ボランティア林Bから、やどりき水源林の管理棟脇から。僕は寄に一番近い三廻部林道の入口から上ることにする。

栗ノ木洞西尾根から北に見る鍋割山稜 栗ノ木洞山頂は桧林の中、展望は得られない


やどりき水源林の手前から三廻部林道は始まる。車止めゲート脇からうっすらと積もった雪の林道へ踏み出すと容易に取付けそうな地点が見つかる。登り始めは桧の森、間伐材が散らばる幹や枝葉を避けて急斜面を上る。道標はもとより雪に印された靴跡すらないが、高みを目指して歩き易そうなところを上ればいい。支尾根の背に乗ると傾斜は一旦緩んで玉ノ屁洞のコブ。北側に白い鍋割山稜が姿を現す。標高800mを過ぎればやや平坦、知らぬ間にイネゴ岳を通過する。


栗ノ木洞西尾根を悩ませるのは行く手を阻む鹿柵。突然前方に鹿柵が出現。柵を乗り越えるような正面突破はできない。おや、下部の金網がめくれて大穴が開いている個所がある。ザックを先に通して這って通り抜ける。してやったり。栗ノ木洞の山頂の手前まで上ると、鹿柵が前方と右横から迫る。仕方なく前方の柵に沿って数十メートルも雪の斜面下りを強いられると柵が倒れている。鹿柵を踏み越え、主稜線を上って栗ノ木洞山頂。山頂に鹿柵扉を見つけてもそれは後の祭り。

鍋割山稜から見る湘南の海、左下は栗ノ木洞 鍋割山稜から見る鍋割山、富士山


栗ノ木洞は鍋割山から南へ延びる稜線上の山。宇津茂から稜線を上って檪山、栗ノ木洞。降って後沢乗越、上り返して鍋割山となる。展望のない栗ノ木洞山頂には三等三角点、表丹沢県民の森の案内板がある。県民の森には栗ノ木洞と檪山、その東側を流れる四十八瀬川とを結ぶ散策路が多数あるらしい。早飯後、雪面に残された二足の靴跡を追って鍋割山へ。栗ノ木洞の北斜面は急坂、深い積雪に手こずる。雪道を下って後沢乗越、雪解けのぬかるみを上り返して鍋割山。


山頂は凍てついた雪原、屯する数人の先客。霞む湘南の海、真鶴岬、箱根の山。雲を纏った富士山。あまりの寒さに2回目の昼食を早々に終え下山の準備をする。下山路はバリエーションルート、丸萱尾根を予定。鍋割山稜を進みながら尾根の降下地点を探すが見つからない。ここぞと思う地点から覗くとあまりの急斜面に怖れをなし、丸萱尾根からの下山を断念。かつて訓練所尾根と呼ばれた一般登山道、小丸尾根からとぼとぼと降る。それは200回目の山行にして齢71の春。


晴 日帰り 単独行 歩行距離=14.5km 歩行時間=7時間30

小田急線、新松田750⇒(富士急湘南バス)⇒815
825850三廻部林道入口→<栗ノ木洞西尾根>→1040栗ノ木洞11001125後沢乗越→1240鍋割山1300→<鍋割山稜>→1345小丸尾根降下点1400→<小丸尾根>→1540二俣15501700大倉
大倉1722⇒(神奈川中央交通バス)⇒17:37小田急線、渋沢駅北口