妙義山みょうぎさん      

196 2010/11/12(金) 妙義山中間道 第四石門、831m 日本200名山





秋もたけなわ、妙義山に登る。標高1,000mそこそこに過ぎないが奇岩奇勝で知られた山。日本三大奇勝に数えられ、上毛三山、日本百景、国定公園のひとつ。激しい浸食を受けて鋸の刃のように聳える岩峰は勿論経験者コース、岩登りの技術と度胸が要求される。中腹には関東ふれあいの道、中間道という一般向けコースがある。白雲山山麓の妙義神社から金洞山直下の中之岳神社を結ぶ登山道。山麓には妙義紅葉ラインなる自動車道が通じ観光名所として賑わっている。


バスとは名ばかりの上信ハイヤーバス、富岡製糸場で名高い富岡市から僕ひとりを乗せてひた走る。妙義神社に到着、途端に冷気が肌をさす。銅製の大鳥居の前に立ち、仰ぎ見る表妙義。あれは白雲山の相馬岳、天狗岩。中腹に白く「大」の字。この神社は神仏混淆の名残り。仁王像が睨みをきかす総門をくぐると樹齢1,000年に近い杉の大木群が迎えてくれる。左へ辿れば一般向きコース。大之字へ立ち寄りたい。道標に従い右へ上級者向きの白雲山・大之字コースへ進む。

赤紫色が歩いた道 (クリックすると拡大します) 石門めぐり (クリックすると拡大します)


昼なお暗い照葉樹林、涸沢を渡るときつい上りが始まる。ひとつ目では不用だが、つぎつぎと現れる岩の急斜面は鎖なくしては上れない。大之字が据えられた岩塊はほぼ10mの高さ。鎖を握って強引に腕力で上る。「大」の字は鉄板製、真下にある妙義山大権現の所在を示す。「大」が見える麓ならどこでも手を合わせることができるってことさ。この岩塊からは素晴らしい展望が得られる。惜しむらくは霞む下仁田市街、西上州の山々。振り向けば紅葉に彩られた白雲山の絶壁。


落葉を蹴散らして紅葉の樹林を上ると雨が降ってきた。足早に歩いて「辻」と称する三差路に出る。下れば第一見晴、上れば奥の院、白雲山頂へ。折しも上ってきた齢40位の人、山頂まで登るという。僕は道標に従って中間道の第一見晴へ下る。鎖場に遭遇する。まず岩壁を10数m横にへつり、次に10mほど上る。しっかり固定された鎖を掴み、岩に刻まれたステップに足を乗せれば心配は無用。枝葉越しに眺める見晴台を通過。いちど小降りになった雨がまた激しく降ってきた。

大之字から見る白雲山 第一見晴から見る金鶏山


樹木の傘が降る雨を防いでいたが、こう降り続くと枝葉から雨滴が落ちてくる。しばしの雨宿りは第一見晴を見下ろすブナの大木の下。見晴台から見る紅葉の白雲山の枝尾根、その向こうには雨に煙る金鶏山。妙義山は白雲山、金洞山、登山禁止の金鶏山を中心とした一帯を表妙義と云い、烏帽子岳、赤岩、御岳、丁須ノ頭などを裏妙義と云う。何れも険しい針峰揃い。雨の小降りを待って中間道を辿る。静かに流れ落ちる大黒ノ滝を通過、落石による崩落地点を仮設橋で渡る。


鎖で上る第二見晴は紅葉で囲まれた岩稜。ちょっと足場が悪い。上りが続く。足元注意、落石注意との標識がやたらに多い。赤い帽子を被って涎かけ姿の「本読みの僧」が座っている。自然の成せる造形だというがどうも変。傍らに中間道の中間点との標識がある。陽が射してきた。青空に映える紅葉。中間道はまた関東ふれあいの道、看板がある。<岩壁のそそり立つ妙義山を望みながら石門群や奇岩怪石を楽しむ10kmの自然歩道です> やっとあずまや着。ここで昼食。

大砲岩手前から見る金洞山 第四石門から見る鉄砲岩


中間道は変化に富む。やせ尾根を鉄製の長い階段で上がる。互いにザックを外側に向け合って擦れ違う狭い階段。そそり立つ大岩壁を穿った岩庇を通過する。賑やかな話し声が聞こえてくる。大砲岩。鎖場を下降して大砲岩を目指す人達が順番待ちをしている。鎖場渋滞に辟易して大砲岩はパス。仰ぎ見る金洞山の東岳、中之岳。この辺りの紅葉はもう終期。舞い落ちる枯葉を浴びながら下る風景はまさに絶景。天を衝く奇岩。終日見ていても見飽きないという「日暮らしの景」


石門群を巡る。林立する岩峰群を眺めながら第四石門をくぐり抜ける。振り返れば石門を通して大砲岩とゆるぎ岩を見る。石門広場にはあずまや、それにベンチ。中之岳神社分岐からは岩塊を急降下する。圧巻は第二石門。20mはあろう「つるべおとし」の鎖を攀じ上って石門をくぐり、同じ高さだけ「たてばり」を下り、「カニのよこばい」で10mほど岩壁をへつる。やれやれ。あとは慎重に岩また岩を降って石門入口に到着。残るは長い林道歩き。脚力に加えて腕力勝負の妙義山。


雨のち晴 日帰り 単独行 歩行距離=85km 歩行時間=5時間

上信電鉄、富岡駅810⇒(上信ハイヤー代替バス)⇒850妙義神社
妙義神社入口855905妙義神社→945大之字9551050第一見晴11051120第二見晴11251145本読みの僧→1205あずまや12151300大砲岩13051315第四石門13201355石門入口→1445中村
中村1540⇒(上信バス)⇒1600上信電鉄、下仁田駅