会津駒ヶ岳あいづこまがたけ

195 2010/10/23(土) 会津駒ヶ岳 2,132日本100名山 → 中門岳 2,094




会津駒ヶ岳は花の名山。雪が解けると山頂から中門岳にかけて広がる高層湿原に高山植物の花が咲く。駒ヶ岳への登山口は桧枝岐(ひのえまた)村を措いて他にない。桧枝岐村といえば、かつての平家の落武者の里、秘境の地。今は尾瀬の福島県側の玄関口、そして駒ヶ岳の登り口。名物は裁ち蕎麦(たちそば)と桧枝岐歌舞伎。全戸に温泉がひかれている温泉郷だという。横浜から日帰りはちょっと無理。そこで素泊りだけの山小屋泊は避けて登山口脇の民宿に前泊する。


取り付きは40段の木の階段を上る。快晴、無風。朝日を背に受け、金色のカラマツ林を後に黄葉のミズナラの森を上る。赤土に露岩の辛い急坂、落葉を踏んでジグザグの山道。前を上る登山客のカウベルが静かな山に沁み渡る。そう云えば西会津で親子3頭の熊が柿の木に登っていたという報道があった。尾瀬の木道には熊が度々目撃される。この山道には実のなる木はないから、まさか熊さんは出没するまい。上るにつれて樹相は変わる。ブナからオオシラビソへ。大木の林。

左端の駒ヶ岳から右端の中門岳へ馬の背のように続く稜線 手前は駒ノ大池


待望の水場に着く。この山で唯一の湧水、山頂までのほぼ中間点。水場を過ぎると傾斜は緩くなり黒土に霜柱の坂を上る。シラビソは疎らに樹高は低くなる。見えた、樹林の切れ目から尾瀬の燧(ひうち)ヶ岳、日光白根山、垣間見る駒ヶ岳の稜線。泥んこ道にうんざりするのも束の間、木道が現れる。やがて樹林を抜けて、北側が開けた湿原に出る。地塘もある。ここはベンチのある展望台、駒ヶ岳から中門岳へ続く稜線の全貌が露わになる。まるで馬の背のようななだらかな稜線。


駒ヶ岳の駒とは仔馬のこと。駒ヶ岳という名の山は全国で21座あるという。これから湿原を木道で辿る山上の庭園散歩が始まる。駒ノ小屋に向かって傾斜湿原を上ると、南に広がる絶景が見えてくる。地塘と湿原を前景に配し、シラビソの梢の上に尾瀬の山々、奥に日光連山。駒ノ小屋は高台にある。駒ノ大池と山小屋下のベンチの間をすり抜けて小屋前のテーブルベンチに腰を下す。さてザックをベンチにデポして、サブザックにペットボトルと握り飯を詰め込み駒ヶ岳へ向かう。

駒ノ小屋 燧ヶ岳 中門岳 中門大池


大パノラマを見ながら木道を上る。駒ヶ岳の西側を巻くと山頂への道標がある。濡れて急な階段を上る。山頂はクマザサとオオシラビソに囲まれ、南側が開けている。先客が去るのを待って山位同定盤でひと山づつ確認する。さすが南会津の展望台、なんと富士山が見えるではないか。山頂を降りながら中門岳までの尾根筋を一望する。枯れて草原化した湿原、クマザサやハイマツの群落、点在する大小の地塘、幾つものコブを越える一筋の木道。あれが谷川連峰、越後三山。


中門岳。中門大池の畔に山頂標識がある。<この一帯を云う>とも記されている。傍らのベンチで握り飯を食う。青空を映す水面、気持ちいい風。木道はまだ先に延びているが目新しいものは何もない。そろそろ下山のとき。駒ノ小屋に戻って時間計算をすると予定よりも3時間も早い。大津岐峠からキリンテまで足を伸ばせるが、予定を変えるとろくなことはない。午後の陽を浴びて黄葉が格段に鮮やかなあのブナの坂を降る。向かいの山の紅葉も見事。赤土の急坂をそろりと下る。


快晴 前泊、日帰り 単独行 歩行距離=13km 歩行時間=6時間10分

10/22(金)
野岩鉄道、会津高原尾瀬口駅1500⇒(会津バス)⇒1620駒ヶ岳登山口 (泊)

10/23(土)
桧枝岐村、滝沢6:10⇒(民宿の車で送ってもらう)⇒6:20駒ヶ岳取り付き点
取り付き点6:20→7:30水場7:40→8:55駒ノ小屋9:00→9:15駒ヶ岳9:20→9:45中門岳10:00→10:30駒ノ小屋10:40→12:50取り付き点12:55→13:20駒ヶ岳登山口バス停
駒ヶ岳登山口1500⇒(会津バス)⇒1630野岩鉄道、会津高原尾瀬口駅