東吾妻ひがしあづま)   

193 2010/9/27(月) 東吾妻 日本100名山




一切経山、東吾妻山は敗退。だがひと足早い紅葉を見ることができた。


福島県と山形県の県境に連なる長大な山々がある。吾妻連峰。尾根伝いに或いは湿原を巡って縦走するがとても1日では踏破できない。山中泊するよりも西吾妻と東吾妻を別個に登れば楽。5年前には西吾妻を歩いたが歩き残した東吾妻がどうも心残り。東吾妻も東北の名山の例に洩れず、山の上まで観光道路が通じている。蔵王、八幡平、東吾妻もまた然り。福島交通バスは一日二便、一旦浄土平まで行き、山登りよし散策もよし、次の便に乗り継いで福島駅に着けばいい。

浄土平から見る一切経山 もうもうと立ち昇る噴煙 鎌沼と湿原 もう草もみじも終期


夜半に屋根を搏つ雨音がする。朝起きて窓を開ければ雨は降りやまず、幕を引くように霧が吾妻山を隠してゆく。ともかく浄土平まで行ってみようと雨と寒さの完全武装でバス停に立つ。新野地温泉、赤湯温泉、鷲倉温泉。バスは温泉地を巡って観光客を拾ってゆく。浄土平は、噴煙たなびく一切経山、吾妻小富士、桶沼に囲まれた湿原の地、標高1,600m。国交省が運営するビジターセンター、福島県直営のレストハウスという名のおみやげ屋、ログハウスかと見紛うトイレ棟が建つ。


登山道はビジターセンターの裏手から始まる。ロープで規制された湿原を歩く。木道から灌木の茂みへ入ると一切経山への分岐に出る。<大穴付近で火山ガスが噴出し立入禁止> 次の分岐が一切経山への登山口。沢に沿って<新興ノ道>を上れば吾妻小富士のお釜の形がよく見える。山道はガレた火山岩の急坂から平坦な木道に変わる。酸ヶ平。もう草もみじも終期を迎え、いちめんの枯れ野原。ササ原の中にオオシラビソが点在する緑の山が見えてきた。あれが一切経山。

鎌沼から浄土平に降りる木段の紅葉 吾妻小富士 鎌沼から浄土平に降りながら


無情の雨が山に降る。折からのガスで見え隠れする一切経山。雨とガスに苛まれたあの八幡平や八甲田を思い出す。雨に打たれ視界を塞がれて、ただ足元だけを見て歩いた山。その記憶が一切経山への登高意欲を失わせる。敗退、一切経山。避難小屋から一切経山への分岐をやり過ごす。濡れた木道、湿原に池塘。一本しかない木道でシルバー渋滞。僕の前をのんびりと歩く二組のグループを追い越すのにひと苦労。霧が立ち込める鎌沼の岸に沿って黙然と木道を進む。


初夏ならばお花畑となる湿原に囲まれた鎌沼、標高1,770m。滑るように泳ぐ鴨。一羽が木道に上がってきた。ハイカーの飯粒が大好物だそうな。おねだり小鴨。鎌沼を半周する。沼の南端から広がる湿原に紅葉を見る。姥ヶ原分岐から浄土平へ下る木段あたりが紅葉の盛り。いち早く赤く黄色く染まった樹木越しに見る吾妻小富士の姿がいい。赤土から火山岩砂のザレ場に降りる。最後に浄土平湿原を歩く。縦横に張り巡らされている木道を悄然としてレストハウスに向かう。


雨 野地温泉に前泊、日帰り 単独行 歩行距離=5km 歩行時間=2時間

野地温泉1013⇒(磐梯吾妻スカイライン循環定期バス)⇒1102浄土平
浄土平1105→1145酸ガ平→一切経山→姥ヶ原東吾妻山1155鎌沼12101320浄土平
浄土平1540⇒(磐梯吾妻スカイライン循環定期バス)⇒1650JR福島駅