海沢探勝路うなざわたんしょうろ

189 2010/5/4(火) 海沢探勝路 → 大岳山3 1,266m 日本200名山




観測史上稀な天候不順の三月、四月。迎える五月は初夏のような陽気の晴天が続く。奥多摩に海沢探勝路という名の山道がある。海沢は大岳山を源頭として北に向かって流れ多摩川に注ぐ。沢登り愛好家にとって人気の沢らしい。そこには三つの名瀑があり、沢沿いの側道が探勝路だという。更に三つの滝から「経験者向きの悪路」を辿れば大岳山へ登れるとの記事がある。通例、北登山路は難路が多く路程が長い。だから訪れる登山客も少ない。さてどんなものだろうか。


奥多摩駅のひとつ手前が白丸駅。改札すらない無人駅。迎える鶯の鳴き声。急階段を降り、奥多摩駅方面へ向かって青梅街道を歩む。乗用車やバイクが袖をかすめて走り去る。トンネルをくぐったら多摩川を海沢橋で渡れというが、最初の橋は海沢大橋。対岸に流れ込む沢は見当たらない。次は竣工したての神庭東橋。名前が違うようだがカンが冴える。橋を渡りきれば、左手に発電所があるし養鱒場もある。正解。二俣ではアメリカンキャンプ場の大看板の立つ道を目指す。


木立の中に色とりどりの小屋やログハウスが散在するキャンプ場。大型連休のことだけあって大勢の家族連れやふたり連れが朝餉の支度に余念がない。いっときの賑わいを後にして岩を噛む沢の水音を聞きながら海沢林道を進む。手掘りのトンネルを抜けると海沢に流れ落ちる大小幾つもの滝が現れる。くねくねと曲がって落ちる天地沢の滝、二段の直瀑は井戸沢、天狗の大滝。滝音が遠のくとまた退屈な林道を歩く。紛らわしてくれる鳥の囀り。海沢探勝路入口に到着する。

三ツ釜の滝 ネジレの滝


園地にはあずま舎にトイレ、案内板、それにモノレールがある。探勝路は道標で始まる。その標示は海沢の四滝。えっ、三滝の筈ではないのか。大滝の更に上流に不動の滝があるという。踏み抜きそうな木橋を渡り、青苔の岩を踏み越えると大岳山分岐がある。三ツ釜の滝は圧倒するような落差18メートルの滝、深い滝壺。滝下に立つと二段にしか見えないが、傍らの鉄梯子を上ると広い釜に注ぐ三つめの滝がある。岩に刻みつけられたステップに爪先をかけてスラブをへつる。


岩に囲まれた薄暗い滝壺に注ぐネジレの滝がある。落差11m。これは見事な景観。少し戻って踏み跡を上ると先刻の高巻く探勝路に合流する。やがて台地に辿り着く。下方から湧き上がる轟音。大滝は遥か下。急斜面をジグザグに降る。大滝は新緑の枝葉を震わせて狭い滝幅から落下する落差23メートルの滝。折から降りてきた二人連れと入れ替わりに台地に戻る。ここで帽子を失くしたことに気付く。諦めて早飯休憩。改めて道標を見ると大岳山(悪路)と標示されている。

大滝 大岳山山頂


海沢を離れて九十九折れの急坂から山腹の巻き道を進む。山桜咲く自然林、アセビの群生地、密生した針葉樹林。歩くほどに沢音が近づいてくる。海沢の上流、若宮沢。沢を渡ると園地から続くモノレールの軌道敷が左から現れる。ここからはこの線路と付かず離れず若宮沢の右岸を遡る。左岸には、こんな山奥にワサビ田。どうやらモノレールはワサビ田の作業用らしい。倒木を除けながら薄い踏み跡を辿る。辛い上り。若宮沢が涸れ沢になるとワサビ田もモノレールも終わる。


谷間の急斜面を上る。暑い。吹きだす汗。若い女性がひとり、軽い足取りで降りてきた。涸れ沢から30分、枝尾根に上り着く。尾根に吹き上げる風が嬉しい。さらに30分、大岳山縦走路の主稜線に出る。もう下山してくる人達。大岳山山頂。大勢の家族連れが、グループが、木陰を選んで楽しそうに食事を摂っている。晴天と雖も白ずんだ空。降り注ぐ陽光。開けた南西側は格好の展望台の筈。惜しむらくは富士山は霞みの中。ただ、丹沢や御坂の山並みが薄くかすれて見えるのみ。


下山は大岳神社から馬頭刈尾根に乗り白倉に降る。この山道は大岳神社への参道の筈。不思議なことに以前に見かけた丁目石がない。埋没した様子はなく誰かが持ち去ったのだろうか。残っているのは19丁目、8丁目それに2丁目だけ。足の疲労が激しい。ゆっくりと下りよう。白倉着。時刻表を見ると次のバスは2時間後。プランBに変更。五つのバス停を歩いて払沢ノ滝入口まで行けば始発バスがある。車が行き交う公道、無帽の頭を灼く日差し。まだ山旅は終わらない。


快晴 日帰り 単独行 歩行距離=15km 歩行時間=5時間45

JR青梅線、白丸駅745805神庭東橋→900海沢探勝路入口905→9:10三ツ釜の滝→9:20ネジレの滝→945大滝9551015若宮沢→1130大岳山11451205白倉降下点12151335白倉13451415払沢ノ滝入口
払沢ノ滝入口1420⇒(西東京バス)⇒1445JR五日市線、武蔵五日市駅