塔ノ岳12 とうのだけ)  

187 2010/1/24(日) 塔ノ岳 1,491m → 鍋割山 1,252




年も改まり寒も明ける。塔ノ岳を大倉尾根から上る。鍋割山まで足を伸ばして後沢乗越から下ろう。ごくポピュラーな一般道だが距離が些か長い。2ヶ月振りの山登りだから、脚力も心肺機能も心もとない。山頂まで3時間で登れれば御の字、3時間半なら及第だろう。気がかりは残雪、凍結、霜解けによるぬかるみ、それに膝裏の痛み。登り終えれば雪はなし。一応持参したアイゼンとスパッツは不用。もろもろの懸念は杞憂にすぎず、富士山が一日中眺められる山行日和であった。


大倉行きの始発バスが出発するのは日の出の時刻。混みあう登山客。快晴、微風、とてつもなく寒い。パーカーとセーターを脱いで長袖のシャツで歩きだす。杉の植林から始まる山道は舗装されている。その理由は少し上ると分かる。昨年この森で植樹祭があったそうな。もう店開きした観音茶屋を過ぎる頃には身体が温まってくる。ジグザグの坂を上りきるとベンチのある雑事場平。しばらくは嬉しい平坦な尾根道。改修なった見晴茶屋を通過。見下ろせば湘南の海が朝日に光る。

三ノ塔(右端)から木ノ又大日へ続く表尾根
大山(奥)
塔ノ岳山頂


大倉登山口から塔ノ岳山頂までは、なんと標高差1,200mを上る。人気の塔ノ岳ゆえ大倉尾根はオーバーユース。もろく崩れる山道は丸木で土留めをした階段につぐ階段。だから悪評芬々、通称バカ尾根と呼ばれる。だが休みなく坂道が続くわけではないし、苦しいだけの登山路ではない。辛い階段を上ればその後は平坦な尾根道がある。苦あれば楽あり。歩き始めからかれこれ1時間、一本松跡からは展望の山となる。左に純白の富士山が姿を現し、右には表尾根が迫る。


樹林を抜けると崩壊地を上る急階段を仰ぎ見る。悪名高き花立山荘下の長い階段。上る辛さに耐えかねて数十段上るごとに立ち止まり、己の不甲斐なさを嘆く。崩壊地の例に洩れずここも展望の地。振り向けば大パノラマが展開する。富士山は云うに及ばず、遠く南アルプスの白い壁。広い裾野の奥に愛鷹連峰。駒ヶ岳と神山、明神岳から金時山へ続く箱根の外輪山。湘南の市街、朝日に光輝く海、真鶴岬、ぼんやりと伊豆半島。一段また一段上るたびに山頂が近付いてくる。


ちょうど3時間で登頂したのは吃驚。好天の日曜日のことだけあって塔ノ岳山頂は数十人のハイカーで大賑わい。まずは眺望。三ノ塔から木ノ又大日に続く表尾根縦走路。大山。丹沢山から連なる不動ノ峰、棚沢ノ頭、主峰蛭ヶ岳、そして桧洞丸。ひとり静かに湯を沸かす若者の傍らに腰を下して軽食を摂る。眼下は広い河原の鍋割沢、山なす山の遥か先に富士山。御正体山や三ツ峠山の御坂の山々、白い南アルプス。微風とはいえ冷たい風が吹く。不本意ながら退散も余儀なし。

塔ノ岳山頂から望む富士山 鍋割山稜から見る鍋割山


泣いて上った階段も帰路は駆け下る。金冷ノ頭で大倉尾根と別れて西へ向かう。アップダウンが意外に激しい鍋割山稜。かなり多くのハイカーとすれ違う。葉を落としたウツギの群生地から大木が連なるブナ林へ。大丸を越えて小丸を下る。気持ちのいい樹林の尾根。樹間から覗き見るあれは弁当沢ノ頭。赤屋根の山小屋がほの見える円頂の鍋割山が現れる。鍋割山山頂。ベンチは満席。食事中の人また人。丸い鹿糞が少ない芝生を探しあて、新聞紙を敷いて座る。2回目の昼食。


下山は支尾根を後沢乗越へ降る。アセビを分けるぬかるんだ急階段には辟易する。ハイカーが後を絶たずに上ってくる。家族連れ、しかも幼児も連れて。子供が疲れたり眠くなったらどうするのだろう。歩荷(ぼっか)さんが上ってくる。背負子には20kgの荷。そう云えば大倉尾根でも尊仏山荘へ向かう歩荷さんに出会った。荷は30kg。おや、今日もリスを見かける。右の茂みから山道を横切って消える。後沢乗越ノ沢の流れを下るとあとは大倉への林道歩き。陽だまりをとぼとぼと。


快晴 日帰り 単独行 歩行距離=17km 歩行時間=6時間20

小田急線、渋沢駅648⇒(神奈中バス)⇒703大倉
大倉705815駒止茶屋上825840小草平850930花立山荘→940金冷ノ頭→1000塔ノ岳10251105小丸→1135鍋割山11501240後沢乗越→1320二俣→1425大倉
大倉1438⇒(神奈中バス)⇒1455小田急線、渋沢駅