霧ヶ峰 (きりがみね)   

167 2008/10/9(木) 霧ヶ峰、車山 1,925m 日本100名山




霧ヶ峰には大きな空がある。視界を遮る山がない。高い木もない。丸い草原の丘がうねるように続く。霧ヶ峰といえば花の山。レンゲツツジの6月、ニッコウキスゲの7月。花の季節には人が賑わうのだろうが、今日霧ヶ峰を訪れる人は少ない。閑散とした霧ヶ峰インターチェンジ。ここには2軒のドライブインと自然保護センターがあり、観光地化した霧ヶ峰随一の駐車スポットがある。ドライブインで軽食を摂ると、手にはカメラを、ズボンのポケットに飲料水を入れて歩き始める。


遥か先の丸いドームが建つ車山を目指して、霧ヶ峰自然園地を上る。風に揺れる枯れススキの群生地を過ぎて、沢筋の岩石地の小さな林に入る。紅葉の樹叢。水神社という扁額を掲げた鳥居がある。説明板に出くわす。<霧ヶ峰自然研究路は、八ヶ岳中信高原国立公園の自然の仕組みや営みを歩きながら学ぶために作られました。コースの長さは1.4kmで、所要時間約100分です。季節ごとに、ニッコウキスゲ、マツムシソウ、リンドウ等がご覧いただけます。 長野県>


車山山頂、後方は蝶々深山、物見石 車山乗越から蝶々深山へ向かう


樹林を抜けると、クマザサ、ススキの草原。露岩の脇に <あなたの踏み跡から緑が消えます 愛する草原の思いやり 霧ヶ峰高原牧野農協> ゴマシオ山は見晴らしの小丘。振り返れば霧ヶ峰ICが小さく見える。草もみじの八島ヶ原湿原、その奥に聳える鷲ヶ峰。緑色のロープで規制された遊歩道を降ると、車山との鞍部に青屋根のコロポックルヒュッテがある。車山の肩。車山へは山腹を迂回しながら坂道を上る。右下には草原を縫う観光道路、そこを車が音もなく遠ざかる。


山頂には、黒い建物の上に白い球体が乗る施設が建つ。興醒めの気象観測所。大きな山頂標柱の横面に、<霧ヶ峰高原は、主峰車山から鷲ヶ峰まで標高1,5001,900m、東西10kmに広がる壮大な高原です。草原の稜線の美しさは、植物の豊さ、眺望のすばらしさと共に霧ヶ峰の魅力です。国の天然記念物に指定されている霧ヶ峰植物群落は、八島ヶ原・踊場・車山の3つの高層湿原と車山樹叢及び草原植物群落です。学術的価値の高い数少ない貴重な自然です>

物見石、後方は八島ヶ原湿原 八島ヶ原湿原、後方は鷲ヶ峰


木道を進むと木の柵で囲まれた小社と、スキーリフトがある。どうりで山頂に大勢の人がいるわけだ。晴れていれば絶好の見晴台の筈。蓼科山も八ヶ岳もすっぽりと雲に覆われている。遥か下に白樺湖。擬木で土留めされた階段を下り、木道を車山乗越から車山湿原へ歩む。<霧ヶ峰湿原植物群落は高層湿原と呼ばれ、日本の南限です。ミズゴケ類を主に矮小植物が枯れても腐植しないで堆積して泥炭化し、その上に新芽が生長して盛り上がり、水面より高くなったものです>


雲間から日が射すと、草もみじや紅葉した低木が一瞬紅く染め上がる。岩礫の蝶々深山から草原を下り、上り返して物見岩。巨岩の上に重なった巨岩。物見岩からの下山路がいい。八島ヶ原湿原や、鷲ヶ峰、遠く美ヶ原、それに鉢伏山を眺めながらジグザグ道を下る。肩まで伸びた草原から樹林に入り、沢の水音が聞こえると奥霧小屋、八島ヶ原の東端。高低差が少ないコースとはいえ、もう草臥れた。八島ヶ原を一周するのは止め、秋の陽に包まれて沢渡から霧ヶ峰ICへ戻る。


晴ときどき曇り 日帰り 同行者=Nさん 歩行距離=11.5km 歩行時間=3時間15

JR橋本駅前700⇒(Nさんの車)⇒930強清水940950霧ヶ峰IC
霧ヶ峰IC10151135車山11501200車山乗越→1215蝶々深山12201235物見石→1300奥霧小屋→1320御射山→1330沢渡→1350霧ヶ峰IC
霧ヶ峰IC14:00⇒(Nさんの車)⇒1430諏訪市内