雨ヶ岳 (あめがたけ)   

157 2007/12/6(木)  雨ヶ岳1,772




好天続きだがきびしい冷え込みの毎日が続く。冬型の気圧配置は富士山が良く見える季節。どうせなら、かぶりつきで眺めようと雨ヶ岳に登る。本栖湖から南へ連なる山々が天子山塊。いずれも富士山を西側から眺める展望の山。竜ヶ岳、雨ヶ岳、毛無山、長者ヶ岳、天子ヶ岳、思親山。雨ヶ岳へは、北側の竜ヶ岳、あるいは南の毛無山をからめて登れば、さぞや気持ちのいい縦走ができそうだが、この季節には下山途中で日が暮れてしまう。登山口は本栖湖南岸から雨ヶ岳の北面を登る。


しんと静まり返った本栖湖の湖畔。岸辺で釣り糸を垂れる人以外には誰もいない。周回道路の最南端に、本栖キャンプ場の広い駐車場がある。固く閉じられたゲートの向こうには、朽ちかけた山荘とバンガローが見える。いつものように長袖シャツ1枚で出発準備を終える。寒い。そう云えば、風穴付近の電光板は零下2度を表示していた。道路を少し戻って涸沢の川尻橋を渡ると、遥か奥に泰然と構える山が見える。あれが雨ヶ岳か。その先、本栖の森に道標がある。ここが雨ヶ岳登り口。


主稜線から垣間見る本栖湖 振り返ると竜ヶ岳


ブナ林から桧の植林帯に入る。微かに踏み跡が判る森の小道。あの本栖山荘からの道を併せると、間もなくジグザグに、或いはS字状に支尾根を上る。落葉を踏みしめて、霜柱を壊してながら。積もった落葉が岩礫を隠すから始末が悪い。上りには苦にならないが、下りには厄介な道。ブナ林がある、ツゲの大木がある、アセビの群落がある。樹間から右に雨ヶ岳、左に竜ヶ岳を仰ぎ見る。足下には青空を映した本栖湖が光る。雨ヶ岳と竜ヶ岳との鞍部に近づくと、富士山が劇的に現れた。


端足(はしだ)峠。峠を越えれば根原。高原の向こうに雪を纏った富士山。惜しむらくは日陰の富士、写真写りがいい筈がない。小憩後、竜ヶ岳を背にして県境尾根を上る。クマザサを分けて、はじめは緩やかに上り、緩やかに下る。次は辛い上りが待ち構えている。直登、しかも急登、そして長い上り。慰めは樹間から見える景色。右方、御坂の山越しに南アルプスが白く輝いて見える。前方の雨ヶ岳がだんだん大きくなってゆく。傾斜がやっと緩んで樹林の中でひと休み。ここが小平地。


樹林が切れると大きな富士山が 雨ヶ岳山頂


稜線の左側が開かれて、見晴しのいいササの斜面にさしかかる。強風が吹きつける山の斜面はササ以外の樹木は生育できないそうだ。急登につぐ急登。足を止めて立木に凭れて肩で息をする。ブナの落葉、カエデの病葉、ササの枯葉。ダケカンバの木立を抜けると雨ヶ岳。苦労した割りにあっけない登頂。山頂標識の傍らに御前崎から来た若者が居る。静岡県側が開けて、大きな裾野と中腹に雲が浮かぶ富士山。樹海と朝霧高原に点在する家屋。縦走路の先は高デッキ、その先は毛無山。


天子山塊の中、毛無山は日本200名山にして山梨100名山。竜ヶ岳や長者ヶ岳、思親山だって山梨100名山に選定されている。でもそんなの関係ねぇ!雨ヶ岳は不遇の山。早飯を食べた後、尾根道を駆け下りるO君、追いかける僕。顎を出して上った主稜線は、下りには膝にやさしい柔らかな土。端足峠からは悩ましい石ゴロの下り坂。本栖山荘との分岐で山荘への道を辿る。参った、途中で道が消えている。どないかせんといかん。樹林の中を彷徨い、強引に藪を漕いでのご帰還。やれやれ。


快晴 日帰り 同行者=O君 歩行距離=7.3km 歩行時間=4時間

横浜IC⇒(東名道)⇒御殿場IC⇒(東富士五湖道路)⇒富士吉田IC⇒(139号線)⇒本栖湖
本栖湖南岸駐車場8:009:00端足峠9:109:45小平地9:5010:35雨ヶ岳11:3012:25端足峠12:3013:15本栖湖南岸駐車場
本栖湖⇒(139号線)⇒富士吉田IC⇒(東富士五湖道路)⇒御殿場IC⇒(東名道)⇒横浜IC