曲岳(まがりだけ)     

155 2007/11/3(祝) 曲岳 1,642m→黒富士1,635 山梨100名山




曲岳とは昇仙峡の北、茅ヶ岳の東にある山。黒富士登山口から曲岳を往復して升形山と黒富士を登るなら、それは楽ちんハイキングコース。これではちょっと食い足りない。観音峠から登って曲岳を越えれば、急登とヤセ尾根をこなして冷汗をたっぷりかくことができる。さて気になるのは天気。空に雲、谷間は霧、笹子トンネルを抜けても曇り。今日も曇りかと気落ちして、竜王駅を通り過ぎて北上する。標高1,000mを越えると黄葉が始まり、やがて紅葉に囲まれて走るようになる。


黒富士展望台から見た曲岳 曲岳山頂



NTTの無線アンテナ塔が見えると観音峠。少し先に曲岳登山口を示す道標と、路肩に駐車スペースがある。<<観音峠・茅ヶ岳景観保存地区 観音峠を中心とした茅ヶ岳・金ヶ岳・曲岳一帯は景観保存地区に指定されています。ここは、ミズナラ・ブナ・カエデ類等の広葉樹がよく発達し、一部ツガ・モミ等の針葉樹が混交していて秋の紅葉は特に美しく、また眺望も雄大な地域です。 山梨県>> 登山口にクマ・イノシシ出没注意の警告を見て、早速O君はザックから鈴を取り出した


展望のきかない広葉樹林の中、のっけから急登につぐ急登。落葉の道は岩の道に変わる。垂れ下がる細いロープを掴んで岩を攀じ登り、ヤセ尾根を越える。大岩を巻くと、めまい岩と大書された看板がある。やっと身体も感覚も慣れてくる。一難去ってまた一難。見上げる大岩には隙間があるが、身体がすり抜けるには狭すぎる。岩を登り、結び目のついた太いロープに縋って下降する。二歩目までは足掛かりがある。その次が厄介。突起に足が届かない。仕方なく手をゆるめて軟着陸。



升形山 升形山から、左奥は瑞牆山、右奥は金峰山


折しも雲間から日が射してきた。空が晴れれば心も晴れる。曲岳山頂と思しき辺りから大勢の話し声が聞こえる。十数人のグループが屯している。一人残らず下山すると、山頂には静寂が訪れる。落葉し始めた樹木やツゲの小木に囲まれた小広場。山梨100名山の標柱と三等三角点。腰を掛けるに都合がいい岩がある。北側が開けて、奥秩父の山々が流れる雲に見え隠れしている。下りも情け容赦のない急斜面。立木に掴りながら土の急坂を下りると、じきに傾斜が緩んでくる。


静かなミズナラ林の尾根道。聞こえるのは、クマ除けの鈴の音と枯葉を踏みしだく音。厚く積った落葉はともすれば道を隠す。五つのコブを越えると、最低鞍部が八丁峠。左は観音峠へ、右は平見城へ、共にしっかりした山道が続いている。緩やかに坂を上ると、カラマツ林。先ほどのグループに追いついた。樹林が切れて草原に出ると、一瞬にして明るい世界が開ける。地面に転がる道標が教える升形山への分岐。見失いがちな踏み跡を追いながら、ススキを掻き分けて秋の山を上る。


黒富士 黒富士山頂


露岩の升形山山頂。狭い山頂には父とその娘であろうか、静かに語らいながら雄大なパノラマに見入っている。北に特徴のある奥秩父の山並がとりわけ目を惹く。岩峰の瑞牆山、五丈石の金峰山、奥秩父では最高峰の北奥千丈岳。北西に八ヶ岳の険しい山群。西に目をやればすぐそこに茅ヶ岳、金ヶ岳。東には黒い鎌首を持ち上げた黒富士、南には鬼頬山、太刀岡山。惜しむらくは富士山、浅間山、それに南アルプスも霞んだ雲の中。風はなく、やわらかな陽射しが降り注ぐ。


一旦、草原に戻って黒富士に向かう。八丁峰・太刀岡山への道を併せるとまた樹林に入る。最後のひと踏ん張りで山頂の一角に登りつく。細長い山頂を辿ると、姦しい話し声は目下食事中のあのご一行さま。低木に囲まれて山梨100名山の標柱が立つ。僕らも湯を沸かして定番のうどんを食う。この黒富士も好展望で知られた山。展望台は大絶壁の上。復路は、往路に越えた曲岳を敬遠して、八丁峠から林道へ下りる。紅葉は林道歩きの単調さを忘れさせても、長すぎる観音峠への道のり。


曇のち晴 日帰り 同行者=O君 歩行距離=7.0km 歩行時間=2時間55

横浜5:45⇒八王子IC⇒(中央道)⇒甲府昭和IC9:20観音峠
観音峠、曲岳登山口9:3010:10曲岳10:1510:45八丁峠→10:50八丁峰→11:05升形山11:1011:20八丁峰→11:35黒富士12:2512:45八丁峠→12:55林道、黒富士登山口→13:25観音峠
観音峠13:40⇒甲府昭和IC⇒(中央道)⇒八王子IC17:40横浜