大山3おおやま

142 2007/1/9(火) 大山 1,252 日本300名山




丹沢大山を登るなら、みやげもの屋をひやかしてケーブルカーに乗り、阿夫利神社下社から1時間20分で山頂に着く。このコースがいちばん人気。ヤビツ峠から上れば僅か1時間。それでは物足りない。蓑毛から歩き始めてヤビツ峠を経由すると2時間の上り。下山は日向薬師へ。この逆コースで登ると、標高差1,000mを3時間で上ることになる。下りは辛い階段降りも少ない。台風並の爆弾低気圧が去ると、各地で大雪、遭難の報。今朝は強風は収まったものの格別に寒い。


日向薬師からはひとり旅。日向川沿いに人影のない畑地を歩く。山裾の集落は意外にもお寺が多い。霊山寺(日向薬師)は日本三大薬師の一つ。宝物殿に納められた十二神将や平安から鎌倉期の仏像二十数体は、神奈川県随一の仏像を誇るという。燦然と光る三重塔の浄発願寺。墓苑売り出し中の旗が立つ。鎌倉と徳川幕府の厚い庇護を受けた石雲寺は古刹。任申の乱で敗れた大友の皇子の墓がある。日向薬師まで来る途中のバス停には(太田)道灌塚があったっけ。


見晴台から大山を望む


鬱蒼とした杉林の中にクワハウスがある。その先に道標。ここが大山への登り口。丸木で土留めした階段をジグザグに上る。林道を横切ると展望のきかない植林帯。階段につぐ階段。もう下山してくる人に出会う。山頂は眺めがいいと言う。等身大のお地蔵様が忽然と現れる。ここからは傾斜がゆるんだ雷ノ峰尾根を上る。しかも展望もある。左は相模や湘南の市街、右は東丹沢の山々。左下、樹林の中に阿夫利神社下社が見える。また急階段。前方はるか上方に大山の頂が見え出した。


見晴台。霜解けのドロンコ広場には東端に阿舎、北斜面に沿って十台ほどのテーブルとベンチが置かれている。先客は一組の夫婦。枯れススキ越しに眺める丹沢三峰山や経ヶ岳の山。南斜面は桧林、下社への分岐がある。見上げると、大山々頂に巨大なパラボラアンテナが光る。熱いお茶に握り飯を頬張っての休憩。さて、見晴台から鹿柵に沿い、一旦鞍部へ下りて上り返す。太陽を背に受けて上るぬかるみの階段。桧林、ツゲの大木群、アセビの群生。汗びっしょりの尾根。


不動尻分岐に注意書き、<最近鹿による事故か起きています。鹿に餌をやったり、近づかないこと> そう云えば日向薬師のバス停脇に、<伊勢原市内で熊が目撃されています。熊に遭遇したら、決して走って逃げてはいけません。また、大声を出さず、リュックサックなどの持ち物をひとつずつ置いて、熊の気を逸らしながら、ゆっくりと立ち去ること> 日向の告知板に、<野猿の出没地域 決して餌を与えない。お弁当の残りは持ち帰る> クマに出会ったら、シカとして静かにサルか。


左は塔ノ岳、中央は冠雪の丹沢山、右は丹沢三峰山


落葉した笹とウツギの尾根道はやせた急勾配になる。上るにつれて山上のアンテナが大きく見えてくる。登頂。山頂には阿夫利神社奥社が祀られる。雨乞いの神様だから、大山は雨降山(あふりさん)とも呼ばれる。さすが人気の山、大勢の人が居る。人混みを避けて奥社下のテーブルベンチで昼食を摂る。見晴しがいい。東丹沢の向こうに広い市街地が広がる。新宿の高層ビル街、東名高速道路、東京湾。奥社の隣は売店がある。あれは湘南の海、江ノ島、真鶴岬、箱根の山。


無秩序に積み上げられた石段を降り、下社への参道をやり過ごしてヤビツ峠へ向かう。イタツミ尾根。林床は一面の笹の自然林。階段は少ない。歩き易いゆるやかな尾根道が続く。右前方に表尾根から続く丹沢の山並み。ひと際目立つ冠雪の丹沢山。富士山が見えない。二ノ塔の稜線越しに、雲に覆われているのが富士山か。途中に、鎖場が一箇所、ベンチが二箇所設けられている。小峰を越えるとヤビツ峠。蓑毛まであと1時間。淡い木漏れ日を浴びて沢上の道を降りてゆく。


快晴 日帰り 単独行 歩行距離=10.0km 歩行時間=4時間40

小田急、伊勢原駅750⇒(神奈中)⇒815日向薬師
日向薬師820850日向登山口→955見晴台10101120大山11501245ヤビツ峠→1320春岳沢→1335蓑毛
蓑毛1400⇒(神奈中)⇒1422小田急、秦野駅