川苔山2かわのりやま) 

#138 2006/11/15(水) 川苔山 1,364m 花の100名山




紅葉前線が奥多摩までやって来る頃には、もう木枯らし一番の季節。各地に降雪の報せ。急に訪れた冬。川苔山に登る。さほど紅葉は期待しなかったが変化に富んだ山であった。川苔とは川で採れるノリのこと。登ってみると、全ての道標は川乗山と記されている。ところが地図やガイドブックはどれも川苔山の表記。どちらにせよ、道標どおりに辿れば間違いあるまい。今日は北から川苔谷を遡上して名瀑百尋ノ滝に立ち寄る。下山路はいろいろあるが未定、その時の気分次第。


満員の鍾乳洞行きのバス。川乗橋で下車すると冷気が肌を刺す。快晴の朝。車止めゲートをすり抜けて川苔谷沿いの林道に入る。暗い杉林、激しい水音、舗装道路に響く靴音。杉林は自然林に変わる。紅葉した小峰が、岩峰が現れる。行方不明になった方を悼んで、大きな岩に憶念鎮魂と刻まれた碑がある。あれっ、一般車通行禁止の林道を車が走り抜ける。細倉橋を渡ると、川乗山登山口の道標。さっきの箱型カーが駐車している。足慣らしを終えて、ベンチでひと休み。


百尋ノ滝 川苔山山頂


細倉橋から始まる山道は、油断ならないが変化に富んで飽きさせない。川苔谷を遡る登山道は暗い杉林の中。高鳴る水音。暗い谷間に目をこらすと、大岩から澄んだ滝壺めがけて流れ落ちる滝が見える。いくつもの滝。小さな橋を渡り、また渡り返す。赤や黄に色づいた林の間から北方に山並みが覗く。あれは蕎麦粒山かな。崖上の巻き道、落葉の積った土の道、岩また岩の道、沢辺の道。六つ目の梯子橋を渡り、岩を攀じ登ると竹筒から迸る水場がある。


百尋ノ滝を示す道標を見ると、とたんに元気づく。階段状の岩を上り詰める。滝音が大きくなって、樹間からひと筋の滝が見える。二連の急な鉄梯子を、赤いロープを掴んで河原に降りる。先行した3人の登山客が居る。滝下から見上げる滝は豪快。枝葉を震わせる轟き。対岸が大崩壊してうず高く積もっている岩屑。川下は日の当たる紅葉の小峰。1尋というのは、たしか両手を広げた長さ、1.8m。すると100尋は180mになるが、実際には落差30mの百尋ノ滝なのだ。


切り立った岩肌を穿った狭いトラバース、濡れた桟道、鉄梯子で上る急登。場所により強い風、舞う病葉。深山幽谷。奥多摩らしからぬ雰囲気の登山道。火打石谷の源流付近でひと休み。もしやあれが川苔山か。枝尾根に取り付いて、もうひと踏ん張り上ると、トタン張りの荒れた茶店跡がある。すっかり落葉したブナの木々。川苔山の東の肩、ここは十字路。左は蕎麦粒山方面への縦走路、稜線を突っ切ると鳩の巣駅、古里駅へ。右へ幅広い防火帯を上って登頂。


川苔山の山頂から西方を見る 右端の雲取山から続く石尾根


気持ちいい初冬の日和。無風。青空に浮かぶ雲。山頂広場の北寄りに山頂標識、二等三角点、地図板がある。東西が伐採されて、見晴らしがいい。開けた西側には石尾根の山々。北側は葉が落ちた樹木の間に長沢背稜の山並。石尾根も長沢背稜も、雲取山から派生した長大な稜線。南側は梢の上に本仁田山、その向こうは御岳山。先客は10名ほど。ベンチが二つ。下山するからお座りください、とベンチを譲ってくれた人は、あのマイカーの人。さあ、ラーメン昼食。


枯木の山道を鳩の巣駅へ下る。川苔山の南斜面は、川苔谷を遡った北面とは全く違う表情を持つ。どこまでも続く暗い桧林。カラマツの落葉の平坦な道。落葉に隠れた浮石や木の根が怖い。展望のない下り。樹木の切れ目から桧で覆われた川苔山が見える。僅かに紅葉の自然林。船井戸から大ダワを経て、大根ノ山ノ神という小社前で小憩。歩きに厭いた頃、麓から生活音が聞こえ出した。鳩の巣駅は近い。痛む膝を気にしながらガレ場を降る。


晴のち曇 日帰り 同行者=O君 歩行距離=12.4km 歩行時間=4時間55

JR奥多摩駅810⇒(西東京バス)⇒823川乗橋
川乗橋825900細倉橋905945百尋ノ滝10001135川苔山12201235船井戸のコル→大ダワ→1355大根ノ山ノ神14001430JR鳩の巣駅