明神ヶ岳3みょうじんがだけ

124 2006/2/13(月) 明神ヶ岳 1,169




今日は箱四会の日、仙石原の保養所泊り。山から下りればなつかしい面々と温泉が待っている日。この時期、箱根の山なら格別の富士山が眺望できる。宮城野から明神ヶ岳に上って仙石に下りよう。別荘地から別荘地へコース。宮城野支所を起点にしたいが、登り口までがややこしい。ガイドブックを見ると、少し戻って、三差路を左折して、二俣を云々、と覚えきれない。按ずるより生むが安し。バス停から道標を追って行けば、いとも容易に登り口に辿りつける。


登山道は明神平別荘地の東端を直登する。桧林や竹林を抜けると、雪で真っ白な林道。ここでひと休み。寒い朝でも汗まみれ。K君とI君はジャケットを脱ぎ、O君はタバコの煙をくゆらせる。背に陽を浴びて、枯れススキの原を過ぎ、広葉樹の林を上る。振り向けば早雲山がのしかかるように聳えている。木段、霜解け、それに石がごろごろした歩き難い急坂。樹林が切れて主稜線に出る。ハコネザサとカヤトの向こうに、富士山の山頂部が覗いている。2度目の休憩。


後方は明星ヶ岳方面 明神ヶ岳山頂、宮城野を挟んで神山と駒ヶ岳


中央火口丘といわれる駒ヶ岳や神山を、東から半時計方向にぐるりと囲む山稜が箱根外輪山。塔ノ峰から始まって湖尻峠までは一再ならず歩いてきた。パノラマと大きな富士山が見られる。だからこの稜線歩きは箱根の人気コース。話は逸れるが、「明神ヶ岳」の「ヶ」という表記はカタカナでしょうか、漢字でしょうか。答えは記号だってさ。「箇」という文字のタケカンムリの片方、とはNHK解説員の話。今は分かりやすく「明神ガ岳」と書くのが一般的になってきたそうな。


この季節に稜線歩きを阻むものがある。ドロンコと強風。霜解けか雪解けのせいであろうか。何処まで続くぬかるみぞ。用意周到、スパッツを履いているのでズボンを汚すことはない。前を歩いていたI君の野球帽が風に飛ばされて右の茂みに消える。あくなき執念が実って、ヤブと格闘して遂に見つけ出す。ウツギの低木地帯からは雪の道になる。ちょっとシャーベット状、すこぶる歩きやすい。左に石碑がある。右に道了尊分岐。滑り易いドロンコの急坂を登って明神ヶ岳。


明神ヶ岳の山頂広場はぬかるんだ裸地。四方を木柵で囲まれた台座の上に山定同位盤。ちょっと離れて山頂標識。眼前に迫る神山、駒ヶ岳。荒々しい山肌を晒す早雲地獄。宮城野の町、仙石の原。うねるような笹原の稜線にひと筋の道が続く。その先は円いドームの金時山。白く輝く富士山。吹きつける強風にもめげず、展望に見入る先客。冷風に居たたまれず、北側のヤブに入るとカヤトが折り敷かれたスペースがある。昼食を摂るには格好の場所。湯を沸かして昼食。


金時山へ向かって外輪山の稜線歩き 矢倉沢峠に近づくと富士山が稜線に隠れてゆく


山頂からの下山はご用心。滑べる急坂に木段。金時山と富士山に向かって、熊笹の斜面を、潅木の山腹を下る。火打石沢へのエスケープルートを左に見る辺りから、ほぼ平坦な尾根道になる。上り返すと雪の道。火打石岳、989m。<火打石岳。この山で、黒色の燧(ひうち)石を産出したことから山の名が起こりました。玄武岩の一種で、加工して作った石器が箱根や小田原の縄文時代の遺跡から発見されています。大昔から、この山には人々の足跡がありました>


北側の巻き道は樹林の中。雪深い山道。樹林帯から背よりも高い箱根笹に入る。リュージュで滑り下りたい掘割状の雪道。カーブを曲り損なったら笹の茂みからあの世行き。高度が下がるにつれて富士山が金時山の稜線に沈んでゆく。左下に青い屋根が見えてきた。あれはうぐいす茶屋。雪は消えて、ドロンコリュージュの下り坂。長い稜線漫歩の終わりは矢倉沢峠。閉鎖している茶屋前でしばしの休憩。あとはのんびり降りて仙石別荘地。もうじき、いい湯に浸かれるぞ。


快晴 日帰り 同行者=O君、I君&K君 歩行距離=9.7km 歩行時間=4時間10

箱根湯本駅934⇒(箱根登山バス)⇒949宮城野支所
宮城野支所10:00→11:10鞍部11:25→12:15明神ガ岳13:00→13:45火打石岳13:55→14:45矢倉沢峠15:00→15:35仙石
仙石15:50⇒(タクシー)⇒16:00仙石原保養所