那須岳2なすだけ

111 2005/6/20(月) 茶臼岳 1,915m → 朝日岳 1,896 日本100名山





はにわは高知の、島崎和歌子は高知の」、高木美保といえば元女優、那須の広告塔。その美保曰く、地震かと思ってとび起きたら、いなず一閃、頭の上で轟く雷で家がグラグラ揺れている。那須はそんな所ですとさ。梅雨の中休み、そこそこの山に登って帰りに温泉へと、ご両人と連れだって那須銀座をぶらつく日。那須の大風にこそ見舞われなかったものの雷雨に追われる。朝日岳の肩から峰ノ茶屋跡避難小屋まで、逃げ降りる羽目になるとは思わなかったのです。


満員の110人乗りのロープウェイ、大きくひと揺れすると山頂駅着。那須は火山性の山。砂礫と岩の山。巨大な火山岩の間をすり抜けると、鼻をつく硫黄の臭い、白い結晶岩。黄色いペンキどおりに岩を越えるきつい上り。鳥の囀り、草の中で鳴く蝉の声。鳥居をくぐると、やっと茶臼山頂。那須神社の石祠。あいにく会津の山も日光も雲の中。涼をとり小憩。火山礫で埋まった浅い中央火口丘を右回り。西斜面に音をたてて噴煙が立ち昇る爆裂火口がある。無間地獄という。


那須岳 剣ヶ峯から朝日岳へ向かう


火口壁を下って峰ノ茶屋跡へ。ここは茶臼岳と朝日岳の鞍部、十字路広場。東に下ると山麓駅へ、西は三斗小屋へ。ここは強風の通り道。人が吹き飛ばされるような強い西風が吹くことがあるという。頑丈な丸木造りの避難小屋は、壁際にはベンチ、中央にはテーブルがふたつ。久しぶりに持参したストーブで湯を沸かしラーメンを食う。突然、屋根を叩く雨音が聞こえると、次々に10人ほどが駆け込んで雨宿り。雨足が去ると、強い日差し、茶臼岳に群がる緑のジャージ姿の小学生が見える。


朝日岳を目指して、剣ヶ峯の東斜面を巻く。僅かな草地に高山植物が咲く。イワカガミ、ウラジロヨウラク。前方に30mほどの雪渓のトラバースがある。何とX君が途中で立ち往生。やっと渡りきって、今度は僕の番。シャーベット状の雪が足の形だけ凹んでいる。右足が谷側、左足が山側。右、左、右。おや、左足を下ろす場所がない。ああ恐ろしかったというX君の告白。つい下を見たら、数十メートルの雪渓が続き、その先は岩。滑落したら助からないと思ったら、恐怖のあまり足がすくんだという。


朝日岳は赤茶色の岩稜。左が切れ落ちたトラバースも、上る岩塊も鎖場。最後に岩場を急登すると朝日の肩。切通し広場に二組のベンチ。ザックをデポして朝日岳を登る。肩から10分ほどで岩峰の頂稜。展望の山頂の筈が茶臼岳すらも厚い雲の中。肩に下りて下山路を相談する。さっき通過した雪渓や岩場には戻りたくないというX君。そこで北側の熊見曽根へ登って、清水平から中ノ大倉尾根を降りることにする。

中央が峰ノ茶屋跡避難小屋、右端は朝日岳



熊見曽根は低く垂れ込めた黒雲。雷が近づいてきた。雷雨の中へ突入なんかできない。先行する二人に大声で戻ろうと叫ぶ。下山は名中ノ大倉尾根なら2時間、峰ノ茶屋跡へは1時間と告げると二人は納得。岩場を降り始めるとポツリと大粒の雨。すぐにレインウェアを着込む。叩きつけるような驟雨、雷雨の真っ只中。雨水と一緒に下る長い鎖場。雪渓の手前に蹲っている二人の若い女性。怖くて渡れないという。前門の雪渓、後門の雷雨。元気づけると四つんばいになって渡りだす。


峰ノ茶屋跡避難小屋に着くと、何ごとも無かったように、皆涼しい顔。雨が止み、戻った夏の日差し。驚いたことに、この小さな小屋から出てくるは50名。半数が小学生。立錐の余地なく詰め込まれた雨宿り。誰もいなくなった小屋で雨具を仕舞って一休み。さて、下山は茶臼岳を大きく巻く道。明礬沢の向こうには岩峰の朝日岳、なだらかな鬼面山。ふたつの山に見送られてダケカンバの樹林帯へ。雨後の緑にムラサキヤシオがひときわ映える。もう少しの辛抱。もうすぐ大丸温泉。



晴一時雨 日帰り 同行者=O君&I君 歩行距離=6.8km 歩行時間=3時間30

JR那須塩原駅830⇒(東野交通バス)⇒940那須岳山麓
山麓駅1000⇒(ロープウェイ)⇒1010山頂駅
那須岳山頂駅10151050茶臼岳10551130峰ノ茶屋跡12001240朝日岳12451325峰ノ茶屋跡13451425那須岳山麓→1445大丸温泉
大丸温泉16:16⇒(東野交通バス)⇒17:05黒磯駅