千頭星山せんとうぼしやま

#110 2005/6/9(木) 甘利山 1,731m → 千頭星山 2,139 共に山梨100名山





梅雨前の6月は花の山として知られているが、それは前衛の山。南アルプスはまだ冬山。スズランの入笠山、アヤメの櫛形山、それに全山赤くそめるようにレンゲツツジが咲く甘利山。いいえ、全山レンガ色に染まるのよ。山は招くが足が無い。これしきの山にタクシーを乗りつけるのも憚れる。先日、何気なくJRのパンフを手に取ったら、韮崎市観光協会主催の甘利山・千頭星山(せんとうぼしやま)へのトレッキング案内が記載されている。これ幸い、「いっしょに小さい旅」をする。


参加者40名が分乗した2台の小型バスは、新緑の山岳道路を苦しげに上る。広河原着。あの北岳の広河原ではない。甘利山広河原。標高1,640mの駐車場、すでにマイカー数台が駐車中。南久摩自然公園の標識。大きな絵看板は甘利山・千頭星山周辺地図。ログハウスの茶店がある。ロープが張られた囲いの中は草木の天国、レンゲツツジにシロカンバ。地元山岳会のリーダーによるストレッチの後、9名づつ4班に分かれて5分毎に出発する。この青空はいつまで続くのかしら。


甘利山から奥甘利、大西峰へ向かう


緑のダケカンバ林の中、ゆるやかに木段を上る。白いコナシの木、別名ヤマナシ。テッペンカケタカと鳴くホトトギス。足下に咲くスズラン、マイズルソウ、スミレ、黄色い金鳳花。ここかしこにまだ蕾みのレンゲツツジ。樹林が途切れるとなだらかな丘が現れる。木道を歩いて甘利山。格好いい山頂標識、山の都を大切にと彫られた石碑。クマザサに覆われた高原のような山頂。点在するシラカンバ、カラマツ、遊歩道のロープを越える不心得者はゼンマイやワラビの山菜採りの輩。

レンゲツツジはまだちらほらとしか咲いていない。見頃はあと10日後らしい。その頃は15万株のツツジ目当てに、この広い山頂に人があふれるらしい。昨年は咲き方が悪く、ボランティアを集めて、ツツジの生育を妨げるクマザサを刈り取ったとか。周囲は360度開けて絶好の展望地の筈。だが、富士山、八ガ岳、奥秩父は霞の中。西方にゆったりと横たわる千頭星山から御所山に続く稜線がある。その向こうは、稜線に隠れて見えない鳳凰三山。観光客が足を運ぶのは甘利山まで。

休憩もそこそこ、鞍部まで一旦戻る。この下りと奥甘利山への上り返しは気持ちのいい樹林帯。ダケカンバの林に混じる新緑のカラマツ、裸木のリョウブ。鮮やかな赤紫色の花を咲かせるトウゴクミツバツツジ。なんといってもシラビソ。すくっと姿勢のいい針葉樹。松の落ち葉を踏みしめて上ると奥甘利山。山頂を巻いてカラマツ林を下る。つらい上りが続く。鬱蒼とした森の中に、淡いピンクの花が燦然と咲く。ムラサキヤシオ。雰囲気を壊すクマゼミが鳴きだした。


千頭星山直下の草原 千頭星山


書くと大西峰。読み方はオオニシウラ。木の上、高いところをウラというらしい。やっと辿り着いた主稜線の丁字路。右は御所山を越えて青木鉱泉へ、左は千頭星へ。どちらも鳳凰三山への登り口。ここからは平坦な尾根道。シラビソ、カラマツ、モミの大木。林が途切れるといちめんの笹原。さあ、ランチタイム。昼食は集合時に配られた握り飯を食う。なかなかの美味さ。日差しはとうに消え、東斜面から霧が忍び寄る。稜線は急に冷気に包まれ、あわててジャケットを着込む面々。

荷物をデポし、ストックだけを持って千頭星を上る。山頂はカラマツの巨木林。展望はない。二頭三角点、山頂標識、山梨百名山の標柱。ここから先は鳳凰三山への尾根道。鳳凰三山とは薬師岳、観音岳、地蔵岳。標高2,800m前後の山々。そういえば春先からツツジの山ばかりを登ってきた。日光のアカヤシオ、西上州のヤマツツジ、丹沢のシロヤシオとトウゴクミツバツツジ、そして今日はレンゲツツジにムラサキヤシオ。もう下山のとき。再び花と美林の山道を下る。



晴れのち曇 日帰り 韮崎市主催バスツアー 歩行距離=7.4km 歩行時間=3時間10分

JR韮崎駅900⇒(韮崎市ツアーバス)⇒1000広河原
甘利山広河原10201035甘利山10401140大西峰11551205山頂下笹原12251235千頭星山12451355甘利山14151430広河原
広河原1500⇒(韮崎市ツアーバス)⇒1540韮崎駅前