七ツ石山ななついしやま

103 2005/3/21(月) 七ツ石山 1,757m




木曜日の日スポには、山情報のコーナーがある。雲取山は積雪1m、鴨沢からも石尾根もトレースあり、とは先週の記事。2週間前に歩いた丹沢塔ノ岳の雪道。あの楽しさを思い出す。雲取山への日帰りはちと無理だが、手前の七ツ石山なら問題なかろう。峰谷から上って七ツ石山へ、それから鴨沢へ下りよう。逆ルートより1時間早く下山できる。だが、夢よ再びは甘かった。それは10日前に降った残雪。雪質の悪さに泣き、疲労困憊のご帰還であった。


3連休の最後の日、柿が名産という峰谷でバスを下りたのは、ボクのほか2名。ふたりとも鷹ノ巣山へ向かう。七ツ石山、雲取山方面へのひとり旅は、何と民家の庭を横切ることから始まる。杉林を抜けて公道を歩くこと30分、巨樹の里、峰集落。標高800m。右手に見える鷹ノ巣山の麓、奥集落とこの峰集落は、東京都の最高地点にある村落という。点在する最後の民家を過ぎると舗装道路は終わり、ロープが張られたゲートがある。その先が七ツ石山、千本ツツジ登山口。


赤指尾根まで上ると雪がだんだん深くなる 石尾根からの展望


赤指山の東斜面は残雪の杉の森。吹き抜ける冷たい風、枝葉が騒ぎ揺れる幹。杉の枯葉が敷きつめられた山道をゆるやかに上る。凍てついた雪と氷。受験で滑っても命に別状はないが、ここで滑ると奈落の底よ。林道を横切って桧の森、また杉の森。葉の落ちたカラマツ林は明るい開放感がある。歩き始めて2時間半、標高1200m。もう雪の山、積雪50cmほど。足を取られて、遅々として歩行叶わぬ重い雪。赤指尾根上まで来るともういけません。登るには辛く、戻るに戻れず、あきらめの握り飯。


桧林の直登は急勾配、深くなった雪。積雪1m。アイゼンを装着。まばらな靴跡と2本のMTBの軌跡。前方をふと見上げると、左方から軽快な足取りで歩く人が現れて右に消える。もしや石尾根まで来たのではないか。その先は千本ツツジの草原か。途端に変身、元気くん。開けた南は好展望の縦走路。奥多摩や大菩薩、稜線の向こうに冠雪の富士山。前方に目指す七ツ石山。斧手石という黒い岩塊を過ぎる。ついで七ツ石神社。平将門の7人の影武者を祀る神社。朽ちた鳥居と物置まがいの社殿が侘しく見える。


七ツ石山山頂から鷹ノ巣山を望む 七ツ石山から遠望する南アルプス



冬の名残りの雪の山。七ツ石山。北側だけにダケカンバが茂る丸い山頂。道標と三角点。指呼の間に、あれが雲取山。稜線の先に飛竜山、大菩薩の山々。富士の手前は雁ガ腹摺山かな。右手に白い雲かと見紛う南アルプス。日差しは強いが冷たい風。70才位の元気3人組が登ってくる。七ツ石小屋泊まりだという。さて下山の準備。予定よりも1時間遅れ。次の鴨沢発のバスを逃がすと、17時過ぎの最終便しかない。頂上直下の急斜面を降りるガニ股のへっぴり腰。


鴨沢降下点の下りから七ツ石小屋までは、雪が跡形もなく消えた浮石ゴロゴロの急斜面。アイゼンの爪が岩を噛んで歩き難い。やがて凍結の巻道。抜き足差し足、慎重に。平坦な堂所(どうどこ)でアイゼンを脱着。その昔、七ツ石神社の祭礼の日に、賭場が開かれたと場所だという。尾根の東斜面は桧林の一本道。黒装束の大学生が風のように追い越してゆく。往路は深い雪に悩まされ、復路は氷が下山を阻む山。山中の3軒の廃屋を通り過ぎると、小袖乗越。もうすぐ鴨沢かも。


快晴 日帰り 単独行 歩行距離=15.5km 歩行時間=6時間30分

JR奥多摩駅750⇒(西東京バス)⇒820峰谷
峰谷8251215石尾根12:35→1310七ツ石山13251345七ツ石小屋→1530鴨沢
鴨沢1532⇒(西東京バス)⇒1610JR奥多摩駅