高川山たかがわやま

#102 2005/3/14(月) 高川山 976m 山梨100名山




春の淡雪儚く消えて、そこはもう春山だった。中央線沿線には、気軽に登れる山々がある。しかも駅から駅まで登山ができる。季節は、煩わしい藪は葉を落とし、落葉が風で吹き飛ばされた12月から、梅雨前の5月までがいい。山は歩き易く、静かになる。なんと云っても冠雪の、姿のいい富士山が見える。だから根強いファンが居る。高川山をJR初狩駅から登る。山域は御坂の北端。抜群の展望を誇り、実はチョー人気。標高1000mに届かない山なのに、山梨百名山にして、大月市富嶽12景に選定されている。下山は富士急の田ノ倉駅か禾生駅にしよう。登ってみて、うん納得。


よく晴れた日、寒い朝。高川山に登るには、初狩駅を下車したら、大月市の道標どおりに行けばいい。駅から南へ、3本の登山路がある。沢コースの男坂、女坂。中央線のガードをくぐると正面の壁に、絵入りの案内図がある。もうちょっと足を伸ばして、大岩山、羽根子山へ登ってから高川山へ登りませんか、だって。ガイドブックには載っていないコース。尾根筋は点線。自分でルートを探せか。うん、今回は敬遠。墓地をぐるりとまわりこむと、中央道のむこうに大菩薩の前衛の山々が見える。堂々たる山容の滝子山、お坊山。突然一陣の冷たい風。首をすくめて足早に歩きだす。


高川山山頂 重なった大石とぬかるみの山頂


林道を10分も上ると杉林。よく見ると常緑樹の筈なのに葉が赤茶色の杉。これが花粉症の元凶よ。風が吹くと赤い煙のようになって飛散する。山火事と間違えて119番通報した奴がいたっけ。いつしか林道は山道。伐採された幹が横たわるアカマツ林。真っ直ぐ行く沢コースと分かれて、木段を上って男坂・女坂方面コースへ入る。落石に注意、その先に熊に注意と大書された看板がある。どちらにせよ、気付いた時はもう遅い。ジグザグに登って尾根筋の男坂。凍った霜柱の勾配がゆるむと林床は笹、ブナの多い自然林。北斜面に名残り雪。右手の稜線から富士山が現れる。


さすが富獄十二景の山、右は三ツ峠山


やわらかな春の陽が降り注ぐ高川山。ドロンコ広場に大石が重なった山頂。石に刻まれた山頂標識、山梨百名山の木柱、山名方位盤、それに石の小社。山名同定しながらデジカメを撮る。右に三ッ峠山、左に杓子山を従えた富士山の威容。その頂稜を雲が越えて行く。道志山塊と丹沢の山群が白く光る。北は大菩薩と奥多摩の山々。男女4人組と単独行の男、それに1匹の犬が居る。山頂をねぐらにしている野犬だという。首輪をした銀色の犬。野犬は怖いがこの犬は躾がいい。人が食事を始めると、近くの岩からじっと見ている。食物を放ると、咥えたまま茂みに駆け込んで消える。


山道の歩き易さも、高川山の人気たる所以のひとつ。初狩駅からのコースに女坂を選べば、もっと楽に登れたらしい。東方面への下山も3コースある。山頂から田ノ倉へ向かう松の尾根道。間もなく右手に禾生方面への道を下りる。つづら折れの自然林は高度が下がるにつれて桧林になる。次の分岐は中谷・小杉への分岐。ここまでの山道は、足にやさしい土の山道。浮石ごろごろの悪路とは無縁。そういえばこの辺の山、御坂の三ッ峠山も道志の九鬼山もそんな山道。崩落地をぐるりと迂回して、いつの間にか林道。歩くほどに、梅の香匂う中谷の里、轟音を立ててリニア線が走り去る。


快晴 日帰り 単独行 歩行距離=6.3km 歩行時間=2時間40分

JR初狩駅900920登山口、沢コース分岐点→940男坂・女坂分岐点→1020高川山10501055田ノ倉・禾生分岐→1155中谷・古宿分岐→1210富士急線、田ノ倉駅