大山6 (おおやま)

#172 2009/3/2(月) 大山 1,252m → 三峰山 935




大山へいらっしゃい。北に足を伸ばせば、ハイカーにも滅多に遭わない静かな山歩きができる。この季節なら、厚く積もった落葉も吹っ飛んでトレイルが露わになるし、蛭もお出ましにはならない。但し道標はないし、今は残雪と氷がある。ところで、大山から三峰山へ尾根伝いに歩けるという。成程、エリアマップでは(迷)マーク付きの点線ルートがある。サイト検索をすると、唐沢川に降りかかって慌てて戻った人もいる。ルートを外せばあの遭難騒ぎの二の舞になりかねない。


始発のケーブルカーにはハイカーばかり。途中の大山寺駅で背負子を背負った数人のおばさんがどやどやと乗り込んできた。下社の茶店で開店の準備をする人たち。途中駅から乗るの何故だろうか。大山ケーブルカーは高低差276mを僅か6分で上る。歩いて男坂を上れば50分の歩行時間。終着は阿夫利神社下社駅。阿夫利神社は別称雨降神社ともいう。掃き清められた階段を上ると下社の社殿と茶店が立ち並ぶ。一望する相模の街、ぼうと霞んだ湘南の海。清々しい朝。

大山から望む三峰山 右下から延びる尾根を歩いて主峰へ登る


春一番が吹き荒れてから、いくつもの前線と低気圧が通り過ぎて不順な天候続き。今日は風が強いが一週間ぶりに太陽が拝める日。下社から山頂を目指すには三つの登路がある。本坂、かごや道、それに展望台を経て雷ノ峰を上る尾根道。本坂の登り始めは、本殿の左手から見上げるような100?もの急な石段を上る。上るに辛く下るには悩ましい。本坂を敬遠してかごや道を上る。道標<かごや道を経て大山山頂へ1時間30分>を見て、本坂の石段下から左の杉林へ入る。



林相は自然林へ照葉樹林へと変わる。蓑毛への分岐を通過する。かなり荒れた急坂。駕篭ですいすいと登れるような山道ではない。歩き始めて40分、かごや道は本坂16丁目、追分に合流する。高さ367mの石碑があるところ。20丁目は2本の大木のある富士見。中腹に雲を抱いた富士山を二ノ塔越しに眺める。本坂は荒れた坂。参詣人のオーバーユースにより表土が流出し、露岩の坂。25丁目でイタツミ尾根道が合流し、<あと10分で山頂>との標識に元気づけられる。

唐沢峠 直進すると三峰山との表示はない 三峰山の主稜線を進む


大山山頂は28丁目。阿夫利神社奥ノ院の前庭は残雪とぬかるみ広場、朝日に光る樹氷群。まだ参拝客や観光客は居ない。テーブルベンチのひとつに腰掛けて早飯を食う。大山は関東の展望台を誇る。俯瞰すれば、新宿の高層ビル街からぐるりと江ノ島、真鶴岬。30分の休憩でも疲れが取れないまま腰を上げる。一段下がった広場でこれから向かう三峰山を目で追う。七つもの小峰を擁するのに三峰山とはこれ如何。いちばん高い峰から唐沢峠のある尾根が手前に延びている。


東へ雷ノ峰尾根を下る。残雪と泥んこの丸木階段をそろりと降り、枯れ笹と樹氷の林を進むと、氷片が直撃弾となって落下する。不動尻への道標に従い分岐を北行する。唐沢川を挟んで大山の北尾根と並行する尾根道。階段が尽きると見晴らしのベンチがある。ぬかるみはこの辺りまで。前方に三峰山、その奥は仏果山。緑の葉が茂るアセビの群落に入る。残雪のヤセ尾根は両側を鎖に守られて進む。P893を通過。日向山への分岐はロープで塞がれ通行止めになっている。

三峰山から物見峠に向かう崩落地点から望む丹沢の山並み 左端は丹沢山


唐沢峠手前の休憩所。ここにはつごう5本の山道が交差するが、尾根通しの2本以外はすべて<山林管理道につき立入禁止>の立札と共に、木材で塞がれている。どうやら3年前の遭難事故の再発防止策のようだ。そう云えば新しい道標が増え、不要な分岐への表示は一切ない。東屋からなだらかに上ると唐沢峠。勿論三峰山入口との道標はある筈がない。ここから三峰山への登路までは未知の山道。ともすれば消えがちな踏み跡を辿り、地形を見定めながら尾根を行く。


緩やかに上り緩やかに下るブナの林。ツゲの巨木、アセビの急坂。まだらに残る雪、薄いトレイル。P865に上りつく。直進方向はロープで塞がれ進路は直角に右折する。ヤセ尾根の歩きを邪魔するアセビの群落。左に丹沢三峰の山並みが覗く。陽の射す果樹園のような下り坂にさしかかると初めて人に出会う。しかも西洋人。15年前から秦野に住み、このルートはもう十数回も歩いたとは吃驚。三峰山の下りは雪が凍結しているとのこと。やっと不動尻コースに合流する。


三峰山を越える1時間は手を抜けない。立て看板には<三峰山は地形が急峻で歩道は狭く、沢沿いや鎖場など多く経験者向きの登山道です> 岩場を攀じ登るには鎖があるし、梯子は後ろ向きに降りればいい。ザレた花崗岩だから、ぬかるんだ土と違って滑ることもない。しかし厄介なのはキレットや崩落地点に渡された橋。そこに凍った雪片が貼りついているから緊張を強いられる。抜き足差し足、欽ちゃん歩き。北峰を降りきるとひと安心。重い足取りで煤ヶ谷に軟着陸。


快晴 日帰り 単独行 歩行距離=11km 歩行時間=5時間30

小田急、伊勢原駅北口800⇒(神奈中バス)⇒821大山ケーブル
大山ケーブルバス停825840大山ケーブル駅
大山ケーブル900⇒(大山ケーブルカー)⇒906阿夫利神社下社
下社9151030大山11001155唐沢峠12001310三峰山13201415物見峠→1530煤ヶ谷
煤ヶ谷1604⇒(神奈中バス)⇒1650小田急、本厚木駅